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2005年6月22日

洋上風力発電の可能性をさぐる

温暖化(5)

 地球温暖化の悪影響を緩和するためには、日本でも今世紀中葉までに、七割以上もの二酸化炭素の排出削減が必要だとの声があがっています。
 風力発電は太陽光発電と同様に二酸化炭素を出さないで発電できるということで、欧米、特にドイツや北欧の国々の積極的な取り組み方もあって、日本の環境NPO・NGOなどが将来のエネルギーの切り札の一つとして期待しています。
 しかし国のエネルギー政策に責任を持つ資源エネルギー庁などの試算では、太陽光発電や風力発電などの新エネルギーを全部足しても、日本国内で必要なエネルギーの一割にも満たないのではないかと推定されています。
 しかし、太陽エネルギーの利用拡大こそが、「持続可能なエネルギー」を実現できるカギです。例えば、風力発電ですべての電気をまかなうためには、どのくらいの風車が必要なのでしょうか?
 日本では風況の良い場所でも、発電能力に対して実際に発電できる量は、年間平均すると25%程度ですので、現在世界最大の五メガワットの風車を想定すると、年間発電量は焼く千百万キロワット時となります。日本の2002年度総発電量は9,450億キロワット時ですから、5メガワットの大型風車でも約86,000基が必要となります。
 風車は、風上の風下に対する影響を押さえるために、離して設置する必要がありますので、86,000基の五メガワット風車を設置するためには37,000キロメートル、実に日本の陸地面積の10%もの面積が必要になります。
 こうしてみると、資源エネルギー庁などの試算もいたしかたないものとも思えてきます。では、風力発電によって大規模に電力をまかなうことの可能性は全く無いのでしょうか?
 日本は陸地の面積は小さいのですが、細長く、周りを海で囲まれているので、排他的経済水域(EEZ)は四百51万平方キロメートルと陸地面積の十倍以上もあり、世界でも六番目の広さを有しています。この海を活用して洋上で発電することができれば、可能性があるのではないかと私たちは考えました。
 しかし、洋上における風力発電には解決すべき課題が数多くあります。私たちは、大学や民間企業と協力して、「技術的な実現可能性」、「浮体設計」、「設備を作るのに必要なエネルギーと生産できるエネルギーの量」などについて検討しています。中間的には、「可能性大いにあり」という結果が得られています。しかし、解決すべき課題も残っており、いっそうの研究をしていかなくてはならないと思っています。

図
洋上のウインドウファームのイメージ図

【化学環境研究領域 計測技術研究室長 植弘崇嗣】

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