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日本地球化学会賞

  • 受賞者:
    野尻幸宏
  • 受賞対象:
    大気水圏の炭素循環と地球温暖化に関連する地球化学的研究
  • 受賞者からひとこと:
    本賞の受賞は、1980年の入所以来一貫して行ってきた大気水圏の地球化学研究が評価されたものです。1990年の国立公害研究所から国立環境研究所への改組を機会に、地球環境モニタリングが積極的に展開され、その中で太平洋の貨物船を利用した海洋表層の二酸化炭素分圧の観測と大気温室効果ガスの観測を、受賞者が中心となって実施しました。本賞はその学術的成果が成果の主要な部分を占めます。また受賞者は、観測技術の応用研究を、いくつもの外部研究資金の研究リーダーとして実施してきました。これには北太平洋の海洋定点における生物地球化学観測、北太平洋における海洋鉄散布実験、海洋生物への海洋酸性化影響評価実験が含まれます。これらの成果が数多くの学術論文として発表されていることと並んで、太平洋の二酸化炭素観測に関しては、国際データベースに膨大な観測データが登録公開されていること、および、その利用研究が進んだことも高く評価されました。

土木学会地球環境委員会 平成25年度地球環境論文賞

  • 受賞者:
    申龍熙、高橋潔、花崎直太、肱岡靖明r
  • 受賞対象:
    日本域付近の気候予測-CMIP3気候シナリオとCMIP5気候シナリオの比較-(土木学会論文集G(環境), 68(5), I_159-I_169, 2012)
  • 受賞者からひとこと:
    土木学会論文集G(環境)に投稿した「日本域付近の気候予測-CMIP3気候シナリオとCMIP5気候シナリオの比較-」という論文に対し、土木学会地球環境委員会より地球環境論文賞をいただきました。この研究は2010~2012年度に国立環境研究所特別研究員だった申龍熙(現APEC気候センター研究員)が中心になって行いました。本研究ではIPCC第5次評価報告書に向けて作成されたCMIP5気候シナリオの特徴を把握するため、年平均気温、年降水量、年平均日射の将来変化の分析を行いました。放射強制力が近い排出シナリオでのCMIP3気候シナリオ(IPCC第4次評価報告書向け)とCMIP5気候シナリオの特徴を日本域について比較した結果、気温変化に関しては類似な気温上昇が予測されていること、降水量に関しては差異がみられるが両シナリオとも増加が予測されていること、日射に関してはCMIP5気候シナリオで増加が、CMIP3シナリオで減少が予測されていること、それゆえ日射の感度が高い影響評価では気候シナリオの扱い方に注意が必要であること等が示されました。本研究の実施時点(2012年春)以降、利用可能な気候シナリオの種類が増えており、また国内外の関連研究の進展もありましたので、それらの最新のデータ・知見も活用してさらに研究を前進させたいと思います。

日本自然災害学会 学術発表優秀賞

  • 受賞者:
    多島良
  • 受賞対象:
    行政マネジメントの視点からみる災害廃棄物処理(第32回日本自然災害学会学術講演会予稿集, 49-50, 2013)
  • 受賞者からひとこと:
    東日本大震災のような激甚災害が発生すると、災害廃棄物が大量に発生します。これを適正かつ迅速に処理・再利用するためには、限られた行政資源(人材、資機材、財源、情報)を臨機応変に活用しつつ、様々な主体と連携する「マネジメント」が重要となります。本研究では、東日本大震災により発生した災害廃棄物の処理に関する宮城県名取市の取り組みを、政策実施プロセスモデルに基づき、事例研究の手法で分析しました。その結果、人材調達が他のマネジメント要素に影響するなど、処理フェーズごとに行われた行政によるマネジメントの工夫が処理の迅速さに影響する構造が明らかとなりました。なお、本研究を実施するにあたり、名取市で災害廃棄物の処理を担当された方々に多大なるご協力をいただきました。ここに記して、深く謝意を表します。今回の受賞を励みにし、本研究をさらに深め、災害に強い社会システム構築の一助となるような成果を発信し続ける所存です。