編集後記
業務の効率が叫ばれて随分になります。本号が刊行される頃,独立行政法人も事業仕分けを受けているでしょう。それが天下りの温床などと聞けば,ほとんどの人は「とんでもない」と思うに違いありません。しかし,報道の“雰囲気”に流されるべきではないと思います。“無駄”は省くべきですが,何を以って“無駄”と判断するかが重要なはず。例えば,ある目標(仮説)を立てて努力(研究)を続け,幾多の失敗を繰り返した後,ようやく成功(実証)につながった場合,それらの失敗は“無駄”ではないと思います。しかし,成功した後だからこそ言えることであって,成功しない(成果が得られない)間は「いつまで無駄なことをしているのか」と上司や周囲から叱責されるかもしれません。そこで必要とされるのは,活かすべき“無駄”と無用の“無駄”を見極める目利きです。目利きがいなければ,将来の大切な“芽”を摘み取ってしまうかもしれません。将来,世のために役立つ大切な“芽”を見抜いて残す,そんな目利きが,現在の日本にどれほどいるでしょうか。
(T.H.)
目次
- 元禄の津波と平成の津波,そして環境の研究【巻頭言】
- 化学物質の生態リスクを耐性の進化から探る【シリーズ重点研究プログラム: 「環境リスク研究プログラム」 から】
- 化学物質の毒性試験と生態リスク評価【環境問題基礎知識】
- 徒然なるままに空想を巡らす雲をつかむような話【調査研究日誌】
- 環境情報メディア 「環境展望台」【業務等の紹介】
- 「第25回全国環境研究所交流シンポジウム」報告【研究所行事紹介】
- 「第29回地方環境研究所と国立環境研究所との協力に関する検討会」 報告 企画部研究推進室【研究所行事紹介】
- 平成21年度の地方公共団体環境研究機関等と国立環境研究所との共同研究課題について 企画部研究推進室
- 『4つの目で見守る生物多様性 −長い目,宙(そら)の目,ミクロの目,心の目−』独立行政法人国立環境研究所公開シンポジウム2010
- 新刊紹介
- 表彰
- 人事異動
- 国立環境研究所ニュース29巻1号