表彰・人事異動
表彰
受賞者氏名:谷本浩志
受賞年月日:平成14年2月4日
賞の名称:(財)井上科学振興財団「井上研究奨励賞」
受賞対象:GC/NICI-MS法を用いた東アジアにおける大気中PANの季節変化観測
受賞者からひとこと:
自然科学の基礎的研究において新しい領域を開拓する可能性のある博士論文を提出した若手研究者を対象にした井上研究奨励賞を井上科学振興財団から授与された。対象となった論文の内容は,対流圏オゾンの季節変化を支配する要因の解明を目指して行った,反応性窒素酸化物の長期観測とその総合解析である。具体的には,質量分析法を用いた新しいPAN(パーオキシアセチルナイトレート)測定手法の開発,PANを含む反応性窒素酸化物の長期観測,三次元グローバルモデルを用いた解析などから,対流圏オゾンの季節変化における光化学生成と長距離輸送の相対的重要性を明らかにした。そのほか,極東シベリアの森林火災による大量の一酸化炭素放出や,これまで未報告のPAN型化合物の存在など,未知現象を先駆的にとらえることもできた。大気中における化学反応と輸送との微妙なバランスで収支が決まっている対流圏オゾンの季節変化の理解を一歩前進させたものと考えている。 今回の受賞をいっそうの励みとして,本研究をさらに発展させるべく日夜取り組んでいるところである。
目次
- 人間の立場に立つ環境研究
- 地球温暖化の影響を予測するシリーズ重点特別研究プロジェクト:「地球温暖化の影響評価と対策効果プロジェクト」から
- ミリ波放射計によるオゾン変動の観測シリーズ重点特別研究プロジェクト:「成層圏オゾン層変動のモニタリングと機構解明プロジェクト」から
- ダイオキシンによる生殖機能の異常はどのくらい低い濃度で起きるのか?研究ノート
- 「COP(コップ)とは?」環境問題基礎知識
- 「第17回全国環境研究所交流シンポジウム」−内分泌攪乱化学物質の評価手法の現状と展望−
- 「第21回地方環境研究所と国立環境研究所との協力に関する検討会」報告
- 独立行政法人国立環境研究所公開シンポジウム2002 「環境 温故知新 −地球環境の履歴から将来を考える−」について
- 新刊紹介
- 編集後記