ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

 学生時代,大学の図書館の暗い片隅で,熱力学の巨人J. W. Gibbsの“いわゆる”The Collected Worksを偶然見つけた。毎日,毎日,音のしない図書館でページを捲った。ある日,何となく書いてあること,不均一物質系の平衡がわかったような気がした。すごい興奮を覚え,スコーンと抜けるような崇高な昂揚を感じた。気がついたら,図書館の外の歩道でガッツポーズを繰り返していた。

 小生,国立環境研究所に来て14年目になるが,「音のしない空間で取り留めなく考える」時間をほとんど失ってしまった。研究所での時の流れが,着任した頃に比べ格段に速くなったためである。それなりの研究結果は得ているが,興奮するようなものに会う機会が極端に少なくなった。これではマズイ。耳栓を買って,どこかの図書館でブラブラする時間を作ろうかと思っている。図書館の周りでガッツポーズをしている変なオジサンを見つけたら,暖かい眼で見てやってください。

(A.I.)