編集後記
学生時代,大学の図書館の暗い片隅で,熱力学の巨人J. W. Gibbsの“いわゆる”The Collected Worksを偶然見つけた。毎日,毎日,音のしない図書館でページを捲った。ある日,何となく書いてあること,不均一物質系の平衡がわかったような気がした。すごい興奮を覚え,スコーンと抜けるような崇高な昂揚を感じた。気がついたら,図書館の外の歩道でガッツポーズを繰り返していた。
小生,国立環境研究所に来て14年目になるが,「音のしない空間で取り留めなく考える」時間をほとんど失ってしまった。研究所での時の流れが,着任した頃に比べ格段に速くなったためである。それなりの研究結果は得ているが,興奮するようなものに会う機会が極端に少なくなった。これではマズイ。耳栓を買って,どこかの図書館でブラブラする時間を作ろうかと思っている。図書館の周りでガッツポーズをしている変なオジサンを見つけたら,暖かい眼で見てやってください。
(A.I.)
目次
- 研究の効率性
- 人工衛星からの成層圏オゾン層変動モニタリングとその機構解明シリーズ重点特別研究プロジェクト:「成層圏オゾン層変動のモニタリングと機構解明プロジェクト」から
- 内分泌かく乱化学物質等のリスク評価と管理のための環境モデルとシステム開発に関する研究シリーズ重点特別研究プロジェクト:「内分泌かく乱化学物質及びダイオキシン類のリスク評価と管理プロジェクト」から
- カタログ燃費と実用燃費−運転の仕方によって燃費はどれくらい変わるのだろうか?研究ノート
- オゾンとオゾン層についての基礎知識環境問題基礎知識
- 環境研究のフロントとしての国立環境研究所論評
- 独立行政法人国立環境研究所設立記念式典等の開催について
- 「国立環境研究所友の会」への入会御案内〜ちょっと気になる環境問題がもっと身近に〜
- 新刊紹介
- 表彰・人事異動