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独立行政法人化と研究所

巻頭言

主任研究企画官 小野川 和延

 独立行政法人化のスケジュールが具体化され,ある程度の姿が見えるようになってきた。これを見る限りでは,国立環境研究所の研究者の立場に立つ限り,従前に比べて悪くなったという点はあまり見あたらないように思える。変化に対する漠とした不安感といったものは否めないにしろ,独立行政法人が独立採算性を意味する ものではないという認識,使途の制限のない国費の交付金制度,善し悪しの議論は置くとしても国家公務員としての身分の継続等を考えれば,現在の国立試験研究機関が抱える諸々の制約条件が緩和され,当初意図されたように,これまでよりも研究者が自らの意志で自由に動きやすい環境条件が整備されたと積極的な解釈も可能である。

 これからの課題は,「研究所が自らに対してどれだけ積極性を維持し,自主性を発揮することができるか」であり,「どれだけ高い評価を勝ち取りうるか」である。その結果次第で,力強く動く研究所はそれに応じた処遇を得ることになるが,これは研究者個人についてもまったく同様である。

 これまで,研究所の予算や定員の決定は本庁や財政部局といった第三者の手にゆだねられていた。しかし今回は,予算については移し替え経費と呼ばれていたものを除いてこれが一変する。枠として与えられた予算を用途の制限なく使用できることになるのであり,その使い方の評価は研究所が出す研究成果を通じて下されることとなる。最大の懸案であった研究者の定員の確保も基本的には同様であり,予算の中からどれだけを人件費に充てるかの問題となろう。

 今後は,研究所自らの意志決定と実行力が今までとは比較にならないほど重みをもったものとなってこよう。求められるのは,組織,研究予算の配分を含む大所高所からの研究の方向付けと,それを受けた研究成果の最大化である。当然のことながら,このことはそれぞれの判断を下す者と執行に当たる者とに対し,権限の付与と併せて結果に対する責任を求めることとなる。これらに携わる者には,その意図するところがどこにあったかは関係なく,結果責任が問われることになる。シニアな研究者が必ずしも管理者を意味しないとする,研究能力と管理能力とを切り分ける意識改革も今後は必要となってこよう。

 自由には必ず義務と責任がつきまとう。与えられた裁量権の拡大は,その成果をもって評価される。管理者が総体としての評価を受けることは当然であるが,研究者ひとりひとりに対する評価も避けては通れない。