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平成3年度地球環境研究総合推進費について

その他の報告

大坪 国順

 環境庁では平成2年度より地球環境研究総合推進費(以下、推進費という)を計上し、地球環境研究を学際的、省際的、国際的観点から総合的に推進している。推進費は、地球環境保全に関する関係閣僚会議で毎年策定される「地球環境保全調査研究等総合推進計画」の中で、地球環境保全に関する調査研究を推進する上で非常に重要な予算と位置づけられている。地球環境保全のための実質的な調査研究のほとんどはこの推進費によって実施されている。このたび、「平成3年度地球環境研究計画」が策定され、これに基づく推進費の配分が決定された。(今回承認額は、事務経費を含めて1,526,535千円である。)

 平成3年度地球環境研究計画の要旨は以下のとおり。

(1)基本的考え方

 基本的な考え方は平成2年度と同じ。

  (1)国内の研究者の連携・協力及び研究交流の促進
  (2)国際的な地球環境共同研究計画への参加・連携
  (3)国立環境研究所地球環境研究センターによる所要の連絡調整

(2)研究テーマの配分額 (千円)

  (1)課題別研究 1,431,705
   A オゾン層の破壊 317,448
   B 地球の温暖化 572,440
   C 酸性雨 192,283
   D 海洋汚染 126,229
   E 熱帯林の減少 162,194
   F 野生生物の種の減少 23,283
   G その他の地球環境問題 37,828
  (2)総合化研究 35,520
  (3)課題別検討調査研究 50,507
 (砂漠化研究、及び自然環境勘定体系の確立に関する研究等を含むフィジビリティ・スタディ)

 平成2年度の実施課題数は32で、平成3年度に12課題が新規に着手された(課題検討調査研究は含まず)。平成2年度終了課題が2課題、新規課題サブテーマとして統合されたものが1課題あるため、平成3年度の総課題数は41である。各分野ごとの平成3年度新規課題は以下のとおり。

A オゾン層の破壊
   ・フロン等対策技術の総合的評価に関する研究

B 地球の温暖化
   ・シベリア凍土地帯における温暖化フィードバックの評価に関する研究
   ・気候モデルによる気候変動評価に関する研究
   ・アジア太平洋地域における温暖化対策分析モデル(AIM)の構築に関する研究
   ・家庭等における二酸化炭素排出抑制システムに関する研究
   ・電気自動車の普及促進によるCO2排出抑制交通システムへの転換に関する研究

C 酸性雨
   ・東アジア地域における酸性雨原因物質排出抑制技術の効果予測に関する研究

E 熱帯林の減少
   ・熱帯林生態系の修復に関する研究
   ・ NOAA/AVHRR(LAC)画像データを用いた東南アジア地域の植生指数図及び植生分布図作成に関する研究

F 野生生物の種の減少
   ・森林破壊が野生生物種の減少に及ぼす影響の機構に関する研究

G その他の地球環境問題
   ・ ペルシャ湾岸の原油汚染が地球環境に及ぼす影響の評価に関する研究

総合化研究
   ・地球環境保全のための社会経済システムのあり方に関する国際比較研究

 国立環境研究所では、各テーマの研究に参加しており、地球環境研究グループと地球環境研究センターが中心となって研究を推進していくこととしている。

(おおつぼ くにのり、研究企画官)