2014年9月30日
環境と人々の健康との関わりを探る
~環境疫学~
環境儀 NO.54
国立環境研究所では、環境と健康との関わりについて、実験研究と疫学研究という二つの異なる手法を用いた研究に取り組んでいます。
人々の健康状態と環境との関わりを探ることによって、健康を悪化させ、病気の発生に関与する環境要因を見いだすことができれば、その環境要因を取り除いたり、減らすことによって、健康悪化や病気の発生の予防につながることが期待されます。
環境要因は、時代時代で注目すべきものが移り変わってきました。例えば、環境汚染の典型である大気汚染の歴史は長いものですが、この50年ぐらいの間にも、石炭の燃焼から、石油の燃焼によって発生する大気汚染の時代に変わりました。それにともなって大気汚染防止対策も進み、大気汚染の質と量も大きく変化しました。また、私たちのライフスタイルも多様化し、さまざまな変化をしました。
本号では、研究所が長年取り組んできた大気汚染の健康影響に関する疫学研究と近年取り組んでいる子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)について紹介するとともに、これらの研究の基盤となる「環境疫学」という研究分野について紹介します。