2013年1月31日
化学物質の形から毒性を予測する
- 計算化学によるアプローチ
環境儀 NO.47

化学物質の使用による環境への悪影響を防止するために、生物試験をせずに計算化学によって、 化学物質の形からその毒性を効率よく予測することが必要になっています。
化学物質は私たちに多くの恩恵をもたらしますが、健康や環境に影響を及ぼすものもあります。そのため「化学物質審査規制法(化審法)」では、化学物質が環境を通して人や動植物に被害が生じないように規制しています。化学物質の規制には、毒性データが必要ですが、毒性試験には、膨大な時間と経費が掛かるため、データが不足しています。そこで、多数の化学物質を効率的に管理するには、計算化学によってその毒性を簡便に評価できるよう研究を進めることも必要です。
国立環境研究所では、化審法に生態影響評価が導入されたことをきっかけに、水生生物による生態毒性試験の標準化や生態毒性を計算機で予測するための研究を2002年に開始しました。2008年には、生態毒性予測システム(KATE)試用版を公開しました。また、KATEの信頼性を高めるために化学物質の構造を解析する独自の手法を開発し、2009年には、スタンドアロン版「KATE on PAS」とWeb版「KATE on NET」を公開しました。現在では、精度を向上させたKATE2011を公開しています。
今号では、化学物質の毒性の予測システムの開発について紹介します
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