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2016年2月10日

花粉を測る「はなこさん」

「今日の花粉量はどのぐらいだろう?」と天気予報でチェックすることがあると思います。

花粉測定器 外観

日本の代表的な花粉測定システムには、環境省水・大気環境局が管轄で行っている「はなこさん」という名前で知られているものがあります(http://kafun.taiki.go.jp/)。つくばでもその観測が行われています。その場所は国立環境研究所の屋上の一角にあります(上の写真)。
測定は一般財団法人日本気象協会が主体となって行っています。全国121地点の観測場所にそれぞれ現場責任者がおり、日本気象協会から送られる測定器一式を設置します。測定器(下の写真の中段にあるボタンの付いた機器)とデータ通信機(下の写真2の下段にある機器)によって、データが自動で採取され、日本気象協会にデータが配信される仕組みです。測定器は大和製作所製花粉自動計測器(KH−3000)で、自動計測可能な優れものです。昔は1つ1つフィルターに採取し分析する手動測定でしたので、新しい装置のおかげで日本全国の花粉量データがほぼリアルタイムで測定できるようになりました。


花粉測定器02

測定される期間は、測定対象であるスギ花粉が飛散する2月1日〜6月1日の4ヶ月間です。私は、1月初旬に測定器一式を設置し、6月初旬に設置していた一式をメンテナンスのために返送しています。私がつくばの担当になって4年目になります。初めて設置した時にはトラブル多発で大変でしたが、今ではスムーズに設置できています。私はコンピュータを用いたシミュレーションをする研究を主として行っていますので、花粉モニターの設置をすることで、観測研究をしている気分にさせてもらっています。
測定されたスギ花粉の量は、データからは近年で増加していることは示されていませんが、花粉症の人は増えていると言われています。また、スギ花粉だけではなく、ヒノキ・ブタ草・稲などの他の花粉に悩まされている方もいます。そのような重度の花粉症の方のためにも、様々な花粉を自動で測定できる便利な測器が開発されるとよいですが、しばらくの間は、花粉症の方の高い感知能力が最も信頼できる“測器”となるのかもしれません。
 
(大気環境モデリング研究室 五藤大輔)