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国立環境研究所に望むこと

巻頭言

環境庁企画調整局長 渡辺 修

わたなべおさむの写真

 昨年7月に国立公害研究所から国立環境研究所への改組が行われてすでに半年以上が過ぎました。この間、改組に伴い、様々な行事や研究室の移動など慌ただしい日々が続いたことと思いますが、年も改まり、ようやく落ち着きを取り戻しつつあるのではないでしょうか。

 来年度予算の政府案では、環境庁の予算は、約538億円、前年度に比べ8%強の増となりましたが、その中でも、国立環境研究所の予算は、はじめて50億円を超え、55億3千6百万円と前年度比23.8%増の大きな伸びを示しております。

 特に、地球環境研究の分野については、地球環境研究センターにおけるスーパーコンピュータの導入、地球環境モニタリングの充実強化等、その一層の推進を図るための経費が大きく増加いたしました。改組に伴い新たに研究所の対象領域に加わった自然環境保全の分野については、自然環境保全総合データベースの作成、特別研究として湿原生態系の安定化維持機構の解明に関する研究が平成3年度新規に開始されることとなりました。

 環境行政を進める上で、科学的知見は不可欠なものであります。高度な経済活動を営み地球環境の恵みを享受してきた我が国は、環境保全のために世界的リーダーシップを発揮する必要があり、調査研究の分野で大きな貢献をすることが求められています。有害化学物質等による新たな環境汚染への対応や身近な自然の保全等地域レベルにおいても、環境問題は大きな広がりをみせております。

 これらに的確に対処するためには、ますます研究の充実を図ることが必要です。国立環境研究所は、我が国の環境研究の中核となる機関であり、その責務は重く、また、その研究成果への期待は大きなものがあります。一新された体制の下、筑波の豊かな自然に恵まれた環境のもとでの、一層の研究の推進を願ってやみません。

(わたなべ おさむ)