2015年6月30日
木漏れ日便り
5月の中頃、構内に何本か植えられているハコネウツギの花が咲きます(写真1)。箱根という地名がついていますが、本州の太平洋側に広く分布していますし、庭にもよく植えられます。赤、白、ピンクの花がまざって咲いていますが、どの花も最初は白で、そのあと数日かけて赤くなります。花を訪れる昆虫に、もう受粉済みの古い花を避けて回ってもらうと植物としても受粉の効率がよいので、色で新しい花が区別できるように進化したと言われています。
ハコネウツギにいろいろな昆虫が集まります。その一種がクマバチです(写真2)。見た目はちょっと怖そうですがとてもおとなしく、人間が刺される心配はまずありません。ハコネウツギに来たクマバチは、花の中に頭を突っ込むのではなく、花に横から抱きついて口先を花の付け根に刺して蜜を吸っています(写真3)。こうした行動は盗蜜(とうみつ)と呼ばれます。花粉の運び手としては役立たず。植物にとっては迷惑なお客ですね。

(竹中明夫)
目次
関連記事
表示する記事はありません
関連研究報告書
表示する記事はありません