ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

「夏の大公開」開催報告

【研究所行事紹介】

一般公開実行委員会事務局

  国立環境研究所は,夏休み最初の土曜日にあたる7月21日に「夏の大公開」を開催しました。来所者からの要望に応え,6月の環境月間から,7月の夏休みに開催時期を変更して4年目を迎えました。本イベントは,つくば市民をはじめ広く一般の方々に研究所の活動をご紹介し,環境問題により深い関心を持っていただくために毎年行っているものです。今年も動員スタッフ約400名,公開施設15施設と,全所をあげて取り組みました。雨のち曇りと天気には恵まれませんでしたが,4,844名の方々に来所いただき,研究所の活動に関する関心の高さや期待の大きさを改めて感じました。

 今回は「エコハカセヲサガセ!」(エコ博士を探せ!)をメインテーマに,地球温暖化,ゴミ・リサイクル,大気や水の汚染,化学物質による環境汚染,アジアの環境など,様々な研究をしている“エコハカセ”達に気軽に聞きながら楽しく環境問題を学べるイベントをたくさん用意しました。みなさん,環境の不思議について“エコハカセ”たちに聞けましたか?

 毎回子ども達に大人気の「日本産・外国産のクワガタ展示」や3種類の水を飲み較べて種類を当てる「利き水コンテスト」に加え,今年は新たな企画として,東京湾に生息するアサリ,ハマグリ,外来種の二枚貝(ホンビノスガイ)が砂に潜る速さを観察しながら予測する「二枚貝の砂潜り競争」を行った大山記念ホールは,多くの家族連れで大盛況でした。自分の目で見て,舌で確かめる体験型イベントは,子どもから大人まで幅広い年齢層の方々に楽しんでいただきました。

 また,「ザ・南極生中継」と題した,南極の昭和基地で越冬隊員として活躍している研究者“オゾンホール博士”とテレビ電話を利用し会話するイベントを行いました。“オゾンホール博士”による南極の自然や研究活動などの説明に引き続いて,南極の環境についてのクイズや解説を行いました。「ペンギンは大丈夫?」「地球温暖化の影響は」など参加者からの疑問に“オゾンホール博士”がわかりやすく答えました。

「ザ・南極生中継」の様子

 昨年も大好評だった「タッチプール」では,ドチザメに加えて今年はマダコやイセエビも登場,東京湾のさかなに触れることができ,子供達は目を輝かせていました。その他,アジアの食文化に触れる「アジアンカフェ」や電気自動車ルシオールの試乗,高所作業車に乗り地上15メートルの高さから行うサーモグラフィによる地表の温度分布の観察,自転車発電体験など楽しく学べるイベントも好評でした。

 本年相次いで公表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の各作業部会による第4次評価報告書について国立環境研究所所属の執筆者が解説するリレー講演会では,高校生から年配の方まで多くの方々が興味深い面持ちで耳を傾けていました。この講演会は当研究所しかできないイベントであると思います。

 年々来所者が増加するにつれ大きな課題となってきたのが交通・車対策でした。“エコで来てね”と徒歩,自転車あるいは公共交通機関の利用を積極的に呼びかけたほか,今年は,(独)産業技術総合研究所,つくばサイエンスツアーオフィス,関東鉄道(株)のご協力の下,つくばセンターから10分毎に無料循環バスを運行することにより交通の便を充実いたしました。また,昨年の経験を踏まえ,入り口での車両カウント,駐車場への誘導などに研究者の協力を得たことなどによって,西大通りの渋滞発生を回避することができました。さらに,受付を1ヵ所から3ヵ所に増設し,受付での渋滞解消とあいまって,入場後スムーズに各イベント会場に移動していただくことができたと自負しております。

 あいにくの天気にも拘わらず昨年とほぼ同数の方に来所いただけたというのは,「夏の大公開」が定着しつつあることの証と受け止め,来年の開催に向け更なる改善を図り,「夏の大公開」が皆様の楽しい思い出となるよう,これからも所員一同,工夫を凝らしていきたいと思います。

 環境研究の最前線を走る研究機関として,一般公開を通じてより解りやすく研究成果を発信し,より多くの方々に環境問題への関心をもっていただける努力を続けていきたいと思います。