国立環境研究所「夏の大公開」開催報告
研究所行事紹介
企画・広報室,総務部総務課
国立環境研究所では,夏休み最初の土曜日に当たる7月23日に,「夏の大公開」を開催しました。本イベントは,市民の皆様に研究所の活動をご紹介するとともに,環境問題により深い関心を持っていただくために毎年行っているものですが,今年も動員スタッフ約300名,公開施設15施設と,全所をあげて取り組みました。本年は,天候にも恵まれ,入場者数3,010名(昨年度は1,703名)と2年連続で最高入場者数の記録を更新し,大盛況のうちに終えることができました。
大山記念ホールでは,子どもたちの関心が高いクワガタから環境問題を考える『クワガタが来た道,日本人が来た道』のほか,『入試問題から読み解く「環境」』,『お母さんのためのごみ講座』のような他では聴けない「ナットク環境講座」を開講しましたが,一部立ち見がでるほどの大盛況ぶりでした。また,パネルや簡単な実演による研究紹介の他,定番となった電気自動車ルシオールの試乗や,3種類の水を飲み比べる利き水コンテスト,自分の遺伝子を見る体験コーナーなど,大人から子供まで楽しみながら環境問題について考えを深める展示・イベントを多数実施いたしました。普段はあまり盛況とは言えない?食堂もこの日はカレーライス完売など始まって以来の大商いになったと聞いています。
職員ですら,この研究所の中で迷うことなく各棟を回ることが如何に難しいか実感していますが,せっかく研究所に来て頂いた方に「わかりにくい研究所だなぁ」と言われないよう,所内をご案内するスタッフの配置や,ガイド付き所内循環バスの運行,大きなのぼりによる入り口表示など,これまでの経験を生かして工夫を凝らしました。また,炎天下の見学を想定し,湯茶のサービス,お水が飲める休憩所の設置など,細かいところにも配慮しましたが,それも皆様に喜んでいただけたようです。
来場者の約3割にあたる935名の方からいただいたアンケートでは,90%の方に「大変興味深かった」「興味深かった」とご回答いただきました。スタッフの対応についても,「熱意を感じた」,「道でも挨拶をしてくれるなど感じが良かった」等の声をいただいており,年々スタッフの意識が高まってきていることを感じました。
これまで,当研究所の施設公開は,他の研究所に比べて,一体感や戦略的な広報が足りないと指摘されたときもありましたが,魅力あるポスターやプログラムの作成,市内小・中学校へのチラシ配布による幅広い周知,さらに今年は,地元新聞全面広告や洞峰公園陸橋の横断幕の設置,JR駅のポスター掲示など,広報にも力を入れました。3,010名という未曾有の研究所来所者数は,その効果の表れといって良いでしょう。
今回の「夏の大公開」の準備を通じて,研究所の活動に対する関心の高さ・期待の大きさをあらためて痛感しました。それだけ日常生活において,環境問題を意識する機会が増えているということなのかもしれません。今回皆様からいただいた声を今後の活動に生かしつつ,公的な環境研究を使命とする研究所として,これからもより多くの方々に,よりわかりやすく研究所の活動を知っていただけるよう努力してまいる決意です。