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 「つくば」は,極めて暮らしやすい所だと思う。都会的な学園都市中心部に農村風景が広がる周辺部と,多様な環境に囲まれ,店舗,病院等も充実している。人口密度もそれほど高くはない。公園面積も広く,中心部から少しはずれれば,日本の原風景的な谷津や里山が存在する。しかし,最近,残念ながらそのバランスが崩れてきているように感じる。田畑をつぶして周辺農地まで住宅が広がり,中心部には大型店舗が新築され,筑波山が見えなくなってしまった場所もある。寂しい。

 環境の価値を表現することは難しい。その根本は,このような身の回りの環境が変わってしまい,「なんか寂しい」,「なんかやだな」といった感覚的なところが大きいのではないかと思う。そんな感覚を大事にしたくてこの道に入った。雑用に追われる中で何のためにやっているのか忘れてしまいがちであるが,研究所への行き帰りの間に,桜が咲き,田圃に水が入り,カエルが鳴き,緑が濃くなり,虫の声が大きくなり,やがて稲の穂が実る等々,身近に四季を感じることによって初心を取り戻すことができる。そんな環境をなんとか残していきたい。

(N.Y.)