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「環境儀」No.6 海の呼吸 北太平洋の海洋表層のCO2吸収と生物生産に関する研究(平成14年10月発行)

 地球温暖化の原因物質が二酸化炭素であることは,テレビのクイズにもなるほど広く知られている。しかし,地球上での二酸化炭素の動態となると不明なことだらけである。海洋の二酸化炭素吸収能は,大気中の二酸化炭素濃度を決定する重要な要因であり,地球温暖化の将来を予測するために是非とも明らかにする必要がある。この問題の解明を目指し,国立環境研究所では大気中と海水中の二酸化炭素濃度の精密な測定を,北太平洋上の定期航路を利用して長期間にわたり実施した。その結果,北太平洋は二酸化炭素を吸収する主要な海域であることが明らかになった。本号はその研究の紹介である。地球温暖化といえばとらえどころのない茫洋とした問題であり,いかにもアバウトな議論が先行しているように思われがちである。しかし実際には,問題解明に向けて地道な確固とした測定が全地球規模で進められており,そのために研究者の日々の努力が続けられていることをご理解頂ければ幸いである。

(「環境儀」第6号ワーキンググループリーダー 青木康展)