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須賀 伸介

 環境月間の行事の一環として,6月3日に国立環境研究所公開シンポジウムが東京都内の国際連合大学大ホールで開催された。この行事は,昨年までは国立環境研究所研究発表会として,当研究所の大山記念ホールで毎年行われてきた。本年は研究所の環境問題に対する取り組みをより広く公開することを目的に,東京都内に会場を設け,「21世紀の私たちの環境を考える」という主題のもとに実施した。

 シンポジウムは別表に示したプログラムにしたがって進められた。合志陽一副所長の開会挨拶に始まり,研究発表では,現在の環境問題の中でも特に重要な問題にテーマを絞り込んだ。テーマごとに設けられたセッションでは2件の発表と2名のコメンテーターを交えた質疑討論が行われた。いずれの発表においても豊富な観測データや種々の実験結果などをもとに,工夫を凝らした図表を作成し,日頃の研究成果を一般の聴衆にも分かりやすい形で説明していた。時間の都合上,場内からの質問に答えることができなかったが,事前に配布した質問票に質問や意見を記入してもらっており,後日対応する予定である。また,研究発表と並行して20題のポスター発表がレセプションホールで行われた。こちらでは,研究発表の休憩時間を中心に,説明者と来訪者の間で活発な討論が行われていた。最後は大井玄所長による講演で締めくくられた。

 当日はあいにくの雨天にもかかわらず,500名を超える所外からの参加者があった。発表会場は終日ほぼ満席であったため,会場に入りきれない参加者のために別室の大型テレビで場内の様子が映し出された。このように会場は終日にぎわい,成功裏に終わった。

(すが しんすけ,セミナー委員会幹事 社会環境システム部情報解析研究室)

プログラム

 総合司会 小野川和延(主任研究企画官)
 ●10:00~10:10 開会挨拶 合志 陽一(副所長)

 ●10:10~11:20 「21世紀にオゾン層は回復するか?」

・オゾン層を壊す物 鷲田 伸明(大気圏環境部)
・オゾン層破壊と大気の流れ 神沢 博(大気圏環境部)
コメンテーター
富永 健(東京大学名誉教授)
林田 佐智子(奈良女子大学助教授)
司会 笹野 泰弘(地球環境研究グル-プ)

 ●11:20~12:30 「化学物質対策の今後-21世紀の人類生存に向けて」

・ダイオキシン・環境ホルモンの対策に向けて 森田 昌敏(地域環境研究グループ)
・有害化学物質の健康リスクアセスメント 遠山 千春(環境健康部)
コメンテーター
高月 紘(京都大学教授)
加藤 順子(三菱化学安全科学研究所部長研究員)
司会 中杉 修身(化学環境部)

 ●12:30~13:30 ‥‥‥ 休憩 ‥‥‥

 ●13:30~14:30 特別講演「新しい経済学と21世紀の環境」
宇沢 弘文(学士院会員)

 ●14:30~15:40 「守ろう生態系!21世紀のよりよい環境創造のために」

・移行帯の衰退と生態系の攪乱 渡邊 信(生物圏環境部)
・海洋生態系機能の保全と回復 渡辺 正孝(水土壌圏環境部)
コメンテーター
岡市 友利(放送大学客員教授)
鷲谷いづみ(筑波大学助教授)
司会 椿 宜高(生物圏環境部)
 ●15:40~16:00 ‥‥‥ 休憩 ‥‥‥

 ●16:00~17:10 「温暖化防止に向けて世界は正しい選択をしたか?」

・最新の科学的知見が生かされたか? 西岡 秀三(地球環境研究グループ)
・政策科学は京都の選択をどう評価するか? 森田 恒幸(社会環境システム部)
コメンテーター
横堀 恵一
((財)日本エネルギー経済研究所アジア太平洋エネルギー研究センター所長)
諸戸 孝明(伊藤忠商事(株)顧問)
司会 原沢 英夫(社会環境システム部)

 ●17:10~17:40 「21世紀の私たちの環境を考える」 大井 玄(所長)