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ライフサイクルアセスメント(LCA)

環境問題豆知識

乙間 末廣

 現代社会のもつ大量生産,大量消費,大量廃棄の構図から生じる環境負荷は持続可能な社会システムのレベルをはるかに越えている。地球温暖化などの地球環境問題や生活雑排水による河川湖沼汚染などの都市型環境汚染問題の顕在化はその現れと言える。環境負荷をもたらす人類の活動を総量としていかに減少させるかが,それらの問題を解決する唯一の方策であり,持続可能な社会への道である。

 LCAとは物の生産,消費に係わる活動やサービスの享受がもたらすトータルな環境負荷を積算,評価するための概念および手法のことであり,それらの活動,サービスに起因する環境負荷を効率よく低減するための方策立案を目指している。一般的に提案されている具体的な手順としては,

 (1) まず,LCA実施の目的や対象範囲を明確にすることから始まる。

 (2) 次に,製品等のゆりかごから墓場までのライフサイクル全体を対象に物質やエネルギーの入出力を定量的に精査する。

 (3) それらがもたらす環境負荷を同定しかつ総合的に評価する。

 (4)そして最後に,結果をLCAの実施目的に照らして解釈するとともに改善方策へつなげることになる。

 LCAの実施により,商品やサービスの環境面からみた総合的な比較が可能となるだけでなく,生産過程・消費過程・廃棄過程など重大な環境負荷を生じる具体的なライフステージが明らかになることから,戦略的・効率的な改善に不可欠な情報が得られる。

 上記のようにLCAは総環境負荷を低減するうえで重要な概念であり,かつ考え方は比較的シンプルであるが,その実施には多大な労力を必要とする。現在までに,飲料容器・冷蔵庫・自動車・廃棄物焼却施設などの評価に適用されているが,その事例はまだまだ少なく,手法の細部についても個々の事例によって異なっている。ISO(国際標準化機構)では,LCAが製品改善や製品比較のための強力な道具として期待できることから,目下,手法の標準化と規格化の検討をしている。LCAの国際規格は他の環境管理規格(ISO14000シリーズ)とともに2,3年のうちに発行されることになろう。

(おとま すえひろ, 社会環境システム部資源管理研究室長)