2020年9月29日
排水路でつまりを起こすごみの特徴
コラム3
都市の排水システムには、さまざまな構造物があり、固形物がそこでつまって水の流れを妨げることがあります。側溝の蓋の隙間やメッシュ、マンホールの蓋に空けられた穴、水路に設けられた柵などは、ごみなどが排水路に落下することを防止する機能があるものの、ごみで完全にふさがれてしまうと、水を排除する機能自体が失われてしまいます。
水路をふさぐごみには地域性や季節性の特徴があります。たとえば、タイのバンコクとベトナムのフエを比較すると、バンコクでは建材由来の木材と生活ごみ由来のプラスチック類(ビニール袋やプラスチック製品の破片)が大半を占めていますが、フエでは街路樹や観葉植物由来の枝葉類が最も多く、次いで生活ごみ由来のプラスチック類(ボトルや袋状のフィルム)が多いことがわかりました。
いずれの都市でも、非公式な資源回収業者が積極的に収集しているペットボトルや食品トレイなどのごみはそれほど多くありません(10%程度)でした。バンコクでは雨季に比べて乾季の方が水路にはえる水生植物が増える傾向がありました。一方、フエでは旧正月、フエフェスティバル、灌仏会、中秋節などの年間の文化的行事にごみが増える特徴がありました。フエは熱帯モンスーン気候帯にあり、落葉は特定の季節に集中せず、乾季にも雨季にも落葉する樹木があるため、年間を通じて落葉の量は大きく変化しないこともわかりました。
図3 水路をふさぐごみの組成(左)バンコク(右)フエ
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