2020年9月29日
都市型水害について
コラム1
水害とは、自然現象により陸地が浸水し、住居、農地、工場や生活インフラが影響を受けて、人命・健康や資産に及ぼす被害のことをさします。自然の環境では、雨水は地面に吸い込まれたり地表面を流れたりしながら、ゆっくりと川にたどりつきます。都市では、地面が人工的に舗装されているので、雨水の多くは地面に吸い込まれずに排水溝に入り、人工的に作られた下水管や開放水路を経由して河川に放流されます。一時的な豪雨によって雨水等の都市に入るスピードが、都市から河川へ排水されるスピードを上回ったときに、排水溝や水路から水があふれて浸水することがあります。このような水害は内水氾濫と呼ばれます。他にも、低気圧(台風など)や前線の影響による河川や湖沼の増水、高潮や津波によって、堤防から水があふれたり堤防が決壊したりして起こる水害は外水氾濫と呼ばれます。
都市型水害とは、内水氾濫をさす場合もあれば、都市の人工被覆率の増加(地下浸透率の低下)によって誘発される外水氾濫を含めることもあります。いずれも、都市特有の冠水・浸水被害の長期化による影響をさすのが一般的です。都市型水害が発生すると、経済的に大きな打撃を受けるばかりでなく、ごみの発生や病原菌の拡散など衛生面の問題につながることもあります。
都市型水害は、排水機能が十分に整っていない東南アジアの都市でよく起こりますが、2018年7月豪雨の例など日本でも起こっています。特に、短時間強雨と大雨の発生頻度が増加傾向にある最近では、都市部に雨水が急激に流入することもあり、従来は水害がなかった地域でも都市型水害が発生しています。
図1 都市型水害の起こり方
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