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コラム「水耕生物ろ過システム」

 水耕生物ろ過システムは,浅く水が流れる水路に植物を根が張るように植え,その根のまわりに水生ミミズや巻き貝,魚などが棲む環境を整え,それら植物と小動物で構成される生態系の働きを利用して水質を浄化するシステムです。浄化のしくみについてみると,まず植物の根や茎の表面に細菌類,ツリガネムシ類,ワムシ類のような微生物が膜をつくり,汚水中の分散した細菌類等を食べることから始まります。その働きにより栄養塩を取り込んだ微生物膜を巻き貝が食べ,その巻き貝をヒルが,ヒルをザリガニや魚が食べるという食物連鎖の中で栄養塩の濃縮が行われていきます。

 また微生物や小動物のふんや死骸が汚泥となり,この汚泥を水生ミミズなどが食べることによっても生物濃縮が進みます。植物は汚泥から栄養塩を吸収し成長します。水耕生物ろ過システムは,これら成長した植物と泥,魚などをその水域から取り出すことによって栄養塩や濁りを除去するだけでなく,植物を堆肥化したり販売することで資源の有効利用にもつながります。

 水質浄化能力もあり食用にもできるクレソンやクウシンサイを利用することで売却益も期待でき,水浄化費用の一部の回収,浄化コストの引き下げも可能になります。

茨城県霞ヶ浦の「土浦ビオパーク」の写真 (クリックすると拡大画像がポップアップします)
茨城県霞ヶ浦の「土浦ビオパーク」