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2016年6月30日

資源の循環的・効率的な利用と、廃棄物等の環境負荷の低減のために

【資源循環・廃棄物研究センターの紹介】

大迫 政浩

1. はじめに

 私たちが担当している資源循環・廃棄物研究分野を取り巻く状況は、大きく変化してきています。世界における環境や資源・エネルギー制約の問題、日本においては新興国の台頭による産業の空洞化の進行、少子高齢化による人口減少時代への移行、情報化社会が進む一方で無縁社会といった人のつながりの希薄化など、社会情勢の変化を見通し、適切に対応していくことが求められます。

 そのような中で、私たちはどのような将来の「循環型社会」を目指せばよいのでしょうか。資源循環・廃棄物研究センターでは、その問いかけに答えるべく、資源の効率的な利用と低炭素社会や自然共生社会、安全・安心社会との協調の下に健全な物質循環が確保された循環型社会への転換を進めるとともに、生産・消費活動の負の側面である廃棄物問題を解決することを目標として研究を進めています。

 大きく言えば、経済のグローバル化の下で資源や廃棄物は国際的に移動、循環していることを踏まえて、資源保全と環境リスク低減等の観点から資源利用と廃棄物管理の枠組の提示を目指します。また、アジアの新興国などにおいて廃棄物問題が顕在化していることから、日本が蓄積してきた技術や社会システムを基にした国際貢献を行っていきます。さらに、日本国内においても低炭素社会や自然共生社会と統合的に循環型社会づくりを進めていく戦略を提示し、次世代の基盤となる技術の研究開発を推進します。加えて、眼前にある放射能汚染廃棄物等の処理や、将来の災害に備えるための研究も、私たちの大きな使命だと考えています。

 以下、第4期中長期計画における研究構成に沿って、課題解決型研究プログラムと基盤的な調査・研究について概要を説明します。

2. 課題解決型研究プログラム「資源循環研究プログラム」

 資源循環研究プログラムでは、持続可能な資源利用と循環型社会実現のために、図1に示す5つの研究プロジェクトをプロジェクト間の連携も図りながら、また研究所の他の研究分野との連携も行いながら推進します。すなわち、国際的な資源利用戦略等における将来のビジョン実現に向けて、資源利用に伴うサプライチェーン構造と、それを形成する要因を解明するとともに、モノやサービスのライフサイクルを通した資源保全及び環境保全上の影響を評価し、持続可能な循環型社会への転換方策を提案します。また、わが国を含むアジア圏における持続可能な統合的廃棄物処理システムへの高度化、及び低炭素社会等と協調した3R(リデュース、リユース、リサイクル)に必要な処理・資源化等の基盤技術と社会におけるシステム化に関する開発・評価を行います。

図1 資源循環研究プログラムのプロジェクト構成
図1 資源循環研究プログラムのプロジェクト構成

3. 基盤的な調査・研究

 資源循環・廃棄物研究センターは、工学、理学、経済学などの様々な専門性をもつ研究者を有し、図2のように5つの研究室で構成されています。このような研究体制により、上述の課題解決型研究プログラムとの両輪で、政策的および学術的基盤づくりのための基盤的な調査・研究を推進します。

図2 研究センターの組織図
図2 研究センターの組織図

 すなわち、図3に示すように、社会経済活動に伴う資源利用と付随する環境負荷に関する地域から国際的スケールでの実態把握とメカニズムの解明を行い、持続可能な循環型社会の評価手法と転換方策を提案するための研究を実施します。また、国内外における廃棄物及び循環資源の適正な処理・処分・再生利用技術を開発・評価し、資源循環と物質管理に必要な各種基盤技術の開発および評価も行います。さらに、研究成果を社会実装していくための内外との研究連携や成果の普及にも積極的に取り組んでいきます。

図3 資源循環・廃棄物研究分野の基盤的な調査・研究
図3 資源循環・廃棄物研究分野の基盤的な調査・研究

4. おわりに

 第4期中長期計画において資源循環・廃棄物研究分野で推進していく研究の概要について説明しました。長期的な視野で目指すべき循環型社会、そして持続可能な社会のビジョンを描きながら、必要とされる研究を着実に進めていきたいと考えています。

 一方、現下の福島における放射能汚染廃棄物の問題への対応や、将来の災害に備えた災害廃棄物対策に関する福島支部の研究にも協力していきます。今期から新たに研究事業連携部門に設置された「災害環境マネジメント戦略推進オフィス」も、当センターで災害廃棄物対策分野を担っていくこととしており、先日発生した「平成28年熊本地震」に対して、現在も国内専門家グループのヘッドクォーターとして現地対応を行っているところです。

 今後も資源循環・廃棄物研究センターの研究活動に対するご指導、ご支援をよろしくお願いいたします。

(おおさこ まさひろ、資源循環・廃棄物研究センター長)

執筆者プロフィール

大迫 政浩

第4期に入り、引き続き資源循環・廃棄物研究分野のお世話をします。社会は大きく動いていますが、自分自身はなかなかついて行けていません。人を「つなぎ」、「紡いで」、「活かしていく」をモットーに、自分は出来るだけ楽をしたいと考えているところです。

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