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論評
退任にあたって
前水土壌圏環境部長  須藤  隆一

昭和49年6月に入所し、併任期間1年半を含め17年有余にわたって勤務した本研究所をこのたび退職した。平成2年7月1日国立公害研究所から国立環境研究所への改組に伴い初代の水土壌圏環境部長を拝命し、水、土壌及び地下環境における研究を軌道に乗せるべく心を新たにしたが、現職がすでに本務であったため、何の役割も果たすこともできず残念でならない。この1年半何回となく研究所と東北大学を往復したが、二つの仕事を同時にこなすには無理があることがよく分かった。終わりよければすべてよし、という覚悟はあったものの、新幹線が郡山をすぎると研究所の重要課題すら意識のなかから消えてしまう有様であった。このようなことで、部長としての最低限の義務も満足に果たせず、大変申し訳ないと思っており、関係者の皆さんに深くお詫びしたい。

しかし、私にとって二つの勤務場所を半々で過ごしたことはよい経験で、研究所のよさをあらためて見直すことができた。研究所に比較して、大学は自由に研究ができる、とよくいわれているが、この研究所ほど研究環境に恵まれ自由に研究できるところはないと再認識している。大学等では得られないこのすばらしい研究環境が未来永劫確保されることを願って止まないが、それが実現されるためには環境行政の推進に研究所がもっと貢献できるようにしなければならない。行政に貢献するというのは検討会や委員会に出席するという単純な問題ではなく、関連研究所や大学まで含めて先導的役割を演じ、環境行政が円滑に進むよう行政官を支援することである。他の官庁における行政官と研究者との間のこのような強い連携は驚くほどである。環境行政は他の分野に比較して科学的知見が最も優先されなければならないが、その主導的役割は本研究所にあるはずである。

私は水環境の分野で仕事をしてきたが、この10年間ほどはいつも環境庁水質保全局が強くなるための支援を優先させたつもりである。そのため、上司からは、やり過ぎだとお叱りを受けたこともあるし、同僚からは研究所の敷居を低くしたと批判を受けたこともある。しかし水のような多元行政では環境側の意見が貫ける研究者が必要である。私は非力であるため、途中で苦悩したこともあって優柔不断になり、役に立つことは全くなかったが、この信念だけは変わっていない。この研究所が今のすばらしい研究環境を維持したまま生き残るためにも研究者の何分の一かはこの役割を果たさねばならない。

水土壌圏環境部は、海、湖、河川、地下水、土壌、地盤と環境のほとんどの場を対象にしているため、従来から未解決のまま残されているものを含め、研究課題はますます多様化・拡大化している。しかしながら、限られた研究者でこれらすべてについて対応することはできないのであるから、広い視野と高い視点に立ってこれから何が必要であるかを予見する必要がある。幸いに渡辺新部長は21世紀に向けて最も重要となっていくであろう海洋環境が専門で指導力抜群の研究者であるので、水土壌圏環境部の未来は明るい。

最後にこれまで寄せられたご厚情に深謝するとともに、国立環境研究所が一流の国際的な環境研究機関としてますます発展されることを心から祈念申し上げる。

(すどう  りゅういち、現在:東北大学教授)

写真  特別講演会

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