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環境情報ネットワークを通じてみた環境庁・国立環境研究所・地方公害研究所のよりよき関係

巻頭言

全国公害研究所協議会長 兵庫県立公害研究所長 小林 稔

こばやしみのる の写真

 ここ数年「パソコン通信」というメディアがデータベース構築など事務的な面はもとより、学術研究分野においても研究交流、情報交換に不可欠なものとなっており、そしてそのメディアは紙からデジタル情報へと移行しつつあります。

 国や各自治体においても、特にここ1、2年、ネットワーク化、データベース構築が計画され、環境庁でも庁内LANが構築され、国立環境研究所の「環境情報ネットワーク」が全国規模で始められました。また地方の公害研究の機関を結ぶネットワークが「化学物質のデータベース構築」をめざして試験的に運用されております。そして将来これら様々なレベルのネットワークが有機的に結合し、「ホスト1局集中」から各機関が自立的に構築したネットワークの相互接続へと発展していくことが期待されます。そのためにもデータの整理、データベース化など具体的な作業のために関係各機関の絶大な協力が不可欠であります。

 一方、現状のネットワークは過渡期のものだけにいくつかの問題点が目につきます。(1)初心者に取っ付き難い操作方法をどのように解決していくか、(2)情報公開についての考え方の整理とセキュリティの確保をどう実現するか、(3)参加者が少ないとネットワークは活性化せず、一方的な情報提供に終わらないために積極的な参加をどう増やしていくか、また(4)形のない、新しいメディアとしての情報ネットワークをどのようにして予算化するかなどでありましょう。このため、(1)国立環境研究所を中心に、環境庁や地方公害研究所を含めた集りで実際的な通信データの実演や講演を行うことが必要でありましょう。そのために機器の整備から操作方法についての「アクセスの手引き」を作ってはどうでしょうか。また(2)情報公開とセキュリティについては相互に理解を積み重ねれば解決できるはずですし、(3)参加者を増大させるためには誰でも操作しやすい環境を、ソフト、ハード両面で保証していくことが必要でありましょう。そして(4)予算獲得のために相互に連携しながら新しいメディアを普及させるための共同作業を進めて行くことが重要でありましょう。

 とにかく、環境庁、国立環境研究所そして地方公害研究所が緊密に連携し、理想的なネットワークの実現のためにできうるところから手をつけていきたいし、またそのために地方公害研究所としても可能な限り協力し、積極的な役割を果たして行きたいと考えます。