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2015年6月30日

アジアにおける不適正なリサイクルによる健康と環境への影響

コラム3

 使用済み電気製品の不適正なリサイクルによる健康と環境への影響については、中国とインドで多数の調査結果があります。調査から、投棄現場からの重金属の放出、解体作業からの粉じん飛散、野焼きによる有害物質や灰の発生、ハンダ除去などの加熱作業からの鉛の揮散、シアンや酸の処理排水などが問題になっています。E-wasteによる環境汚染で知られている中国広東省貴嶼(Guiyu)鎮などアジア諸国のリサイクル現場の大気、焼却灰、粉じん、土壌、水、および底質から、高濃度の鉛やダイオキシン類が検出されており、周辺地域の人々の健康と環境への被害が懸念されています。

 私たちはこれまでフィリピンやベトナムで、不適正なリサイクル現場での健康や環境への影響を調査してきました。フィリピンでは、ジャンクショップの裏庭で子供が素手でブラウン管を壊して、取りだした鉄を親に渡していました(下部写真(左))。けがの危険がある上、ブラウン管の中の鉛によって呼吸器や周辺環境を害することが懸念されます。ベトナム北部のE-wasteリサイクル村では、2012年から3年にわたるフィールド調査を実施し、表層土壌と河川底質を分析して周辺環境への拡散状況を評価しました(図3)。リサイクル施設と電源ケーブル野焼き現場(下部写真(右))の近くでは、E-waste由来と思われる重金属類やダイオキシン類が高濃度で検出されました。

写真:左
フィリピンの裏庭での子供によるブラウン管の破壊と鉄の回収(2012年)
写真:右
ベトナムでのケーブルの野焼きの状況(2012年)
図3
図3 ベトナム北部のE-waste リサイクル村におけるダイオキシン類縁化合物の定点モニタリング結果

 近年はどの国も電気製品の利用や廃棄物発生量が増加していることから、輸出入の管理のみならず、リサイクル現場における環境影響の把握や適正管理が求められています。フィリピンなど多くのアジア諸国では使用済み電気製品の回収・リサイクル制度が整備されておらず、十分な施設もありません。制度と技術面での協力が必要です。

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