- 研究課題コード
- 2425MA001
- 開始/終了年度
- 2024~2025年
- キーワード(日本語)
- メタン,都市,大気観測
- キーワード(英語)
- methane,city,atmospheric measurement
研究概要
温室効果ガスの都市からの排出を対象とした研究は活発に報告されつつある。本研究では、東京と大阪の二大都市圏を含めた日本国内の都市を対象として、代表的なメタン排出量の推定のため、メタンとエタンの大気観測を実施する。東京と大阪においては、車載観測での観測走行カバー率を向上させる。また、国内の5都市程度で、各都市を代表する地域での車載観測を実施する。さらに、現在継続している東京と大阪における観測サイトでのメタン・エタン観測を継続し、周辺地域の排出量特性についての解析を行う。車載観測を東南アジアの都市で実施することを想定したフィージビリティスタディも実施する。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
以前のプロジェクトで開発した車載観測システムを使用し、観測位置(GPS)、風向・風速、メタン・エタンの濃度データを様々な都市の道路上で取得する。メタンの顕著な増加を漏出位置の指標とし、メタンとエタン濃度の増加比を用いて、排出部門(生物起源、化石燃料起源、燃焼起源)の解析を行う。単位距離あたりの漏出地点の出現頻度や、総走行距離、およびメタン濃度の増加量(排出量の指標)を用いて、対象地域のメタン排出量の推定を行う。上記のメタン排出部門への分類も行う。排出量推定手法が整合的に確立できれば、これらの排出量推定値を地方自治体の排出量報告値と比較する。日本の各都市の車載観測データを組み合わせた統合解析も検討する。
代々木(東京)と堺(大阪)の観測サイトにおける大気濃度と渦相関観測を継続的に実施する。一年間の観測データ(本プロジェクト後期を予定)を用いて、フットプリント地域や風向に応じたエタン-メタン増加比の変化やメタンフラックスの統計的解析を行う。異なる排出源部門(生物起源、化石燃料起源、燃焼起源)の寄与を推定する。渦相関観測結果と周辺部での車載観測による排出量推定値を比較し、車載観測にもとづく排出量推定の妥当性を検証し、必要に応じてバイアスの特定や補正の検討を行う。
東南アジアのフィージビリティスタディでは、車載観測キャンペーンの実現可能性を評価するために、東南アジアの候補国を選定する。対象国の排出インベントリや文献にもとづき、メタン排出に関する現在の知見を調査し、日本のキャンペーン観測で使用した観測手法が有効であるかを検討する。
今年度の研究概要
東京・大阪およびその他の都市における車載観測を開始する。また、車載観測のために新たに取得するメタン・エタン濃度計について実験室での性能評価を行う。東京・大阪の観測サイトでの観測を継続的に運用し、随時データ解析を行う。東南アジアの候補国を選定し、メタン排出源に関する調査を行う。
外部との連携
大阪公立大学農学研究科・植山雅仁准教授