ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

観測に基づくGHGおよび関連物質の地表面フラックス早期評価システムの構築(令和 6年度)
Development of an observation-based early estimation system for surface fluxes of GHG and other related species

予算区分
S-22-1(1)
研究課題コード
2428BA005
開始/終了年度
2024~2028年
キーワード(日本語)
温室効果ガス,短寿命気候強制因子,大気モデル
キーワード(英語)
Greenhouse gases,SLCF,Atmospheric model

研究概要

主要な温室効果ガス(GHG)やGHGに関連する短寿命気候強制因子(SLCF)に関して、多種多様なデータの情報を統合して地表面フラックスを整合的に評価するシステムを構築し、特に観測が集中しているアジア太平洋地域において、それぞれのフラックス推定精度の向上を図る。さらに、観測データの早期公開やモデル解析の定常化などにより、観測データ取得からフラックス評価までの一連の流れを迅速化する。サブテーマ(サブ)1では、大気輸送シミュレーションによる地表面フラックス推定手法の開発を行い、異なる物質間のフラックス推定値の整合性を確認しつつ複数の物質を一体的に解析することで推定精度を向上させる。また、全球から領域、地域スケールをカバーする階層的なモデル群により、フラックス推定を高解像度化するとともに代替フロン(HFC)排出インベントリの評価手法の開発を行う。サブ2では、GHGやSLCFについて、アジア太平洋地域に展開した多様な観測プラットフォームによる高精度な大気成分観測データを整備し、全球スケールならびに国内排出量評価に資する継続的な観測データ取得を行う。さらに、速報性のあるデータ公開体制を構築するとともに、同位体や多成分データの解析や大気シミュレーションとの比較から、サブ1とは異なる視点でのフラックス推定や大気中のGHGとSLCF動態の解析を行う。サブ3では、全球海洋生物地球化学モデルによる海面CO2フラックス季節変化の再現性を改善し、観測データとともに太平洋赤道域の海面CO2分圧の長期変化を評価する。また、本州・黒潮間における表層CO2系の季節変化・年々変化の特徴を解明するとともに、BGC-Argoによる観測データを海面のCO2分圧やCO2フラックスの評価に利用できるか検討する。さらに、GOSATやOCO-2のデータを利用して地表面大気CO2濃度の時空間変化の評価を高度化し、海面CO2フラックスを評価する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

令和6年度:
・全球GHG・SLCFモデルの高度化と大気輸送の予備実験を行う。
・HFCの大気化学反応モジュールを新たにNICAMに導入する。
・全球CO2・CH4の長期逆推定を行い、テーマ3へ提供する。
令和7年度:
・HFCの大気輸送実験を実施し、観測データと比較する。
・全球CO2・CH4の長期逆推定を更新し、領域実験の境界データを作成する。
・全球版NICAMを用いたGHG・SLCF大気輸送実験を行い、主にサブテーマ(2)の観測データと比較する。
・領域版NICAMによるGHG・SLCFの大気輸送の予備実験を行う。
令和8年度:
・領域版NICAMによるGHG・SLCFの大気輸送実験を行い、観測データと比較する。
・全球、領域版NICAMを用いたGHGとSLCFのフラックス推定に着手する。
・全球NICAMによるCO2・CH4逆推定結果をテーマ2、3に提供するとともに、テーマ2の結果と比較する。
・FLEXPARTを用いてフラックス推定値の評価を行う。
・HFCのフラックス推定手法の開発に着手する。
令和9年度:
・全球、領域版NICAMを用いたGHGとSLCFのフラックス推定を継続し、異なる物質間の整合性評価や独立データとの比較、FLEXPARTによる解析などを通して、パラメータ調整や手法の改善を行う。
・HFCフラックス推定手法の開発を継続し、国内インベントリとの比較を行いながら、パラメータ調整や手法の改善を行う。
・モデル結果とサブテーマ(2)(3)からのデータをまとめた全体的なフラックス評価システムのプロトタイプを作成し、結果をテーマ3に提供する。
令和10年度:
・HFCフラック推定手法を確立する。
・GHG・SLCF複合解析を通した各フラックス推定の精度向上を検証する。
・全体的なフラックス評価システムを完成させ、定常的な解析に向けた調整を行う。
・最終的なフラックス評価結果をまとめて論文化するとともに、6ヶ月のインターバルでデータを公開する。さらに、データをテーマ3へ提供する。

今年度の研究概要

全球大気モデルNICAMやラグランジュモデルFLEXPARTをベースとしたGHG・SLCFモデルの高度化を進めるとともに、大気輸送実験の予備実験を行い、観測データとの比較解析などを行う。また、新たにHFCの大気化学反応モジュールをNICAMに導入する。CO2とCH4の全球長期逆解析を実施し、Global Carbon Projectへの提供、また、NIES地球環境データベースからの公開などを行う。

外部との連携

海洋研究開発機構

課題代表者

丹羽 洋介

  • 地球システム領域
    物質循環モデリング・解析研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(理学)
  • 理学
portrait

担当者