- 研究課題コード
- 2125AA125
- 開始/終了年度
- 2021~2025年
- キーワード(日本語)
- リスク管理,包括的モニタリング,生態影響予測,
- キーワード(英語)
- risk management,comprehensive monitoring,ecological impact prediction,
研究概要
緊急時に備えるべき化学物質の管理システムやモニタリング体制の在り方等、化学物質のマネジメントへの取組として、災害を含めた突発的事故に対処するための情報基盤構築とリスク管理体制の体系化に加えて、それら発災による化学物質の影響を迅速且つ的確に把握するための包括的調査手法の開発と実用化を図り、リスクに対処する科学的手法と将来的な化学物質の管理システムの方向性を環境施策に反映させる。
研究の性格
- 主たるもの:行政支援調査・研究
- 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備
全体計画
3年程度で過去事例の解析に基づいた災害事故時における化学物質のリスク管理体制を体系化する。一方、漏洩した化学物質の迅速な汚染実態の推定とその曝露評価の点では、親水性の調査優先物質についてデータベース利用に基づく迅速簡易同定定量システムの基礎データを収集するとともに、災害時環境疫学及び環境曝露をより効果的に調査可能なツールと手法を開発する。また、陸域で漏洩・放出された化学物質の溜まり場となる沿岸海洋生態系に着目し、事例解析も含めた定量的な災害影響予測法を提案する。また、5年を目途に、早期復興に求められるリスクに対処する科学的手法と将来的な化学物質の管理システムを行政に提供する。これらの取組により、緊急時を想定した化学物質のリスク管理基盤の構築に加えて、漏洩した化学物質の汚染状況、災害時環境疫学及び環境曝露を迅速かつ適切に把握可能なツールを開発し、リスクに対処する科学的手法と将来的な化学物質の管理システムの方向性を環境施策に反映させる。
今年度の研究概要
サブテーマ1「緊急時における化学物質の管理システムの在り方の解明」では、過去事例解析等により類型化した事故時の化学物質の排出シナリオ、排出事象に対するリスク管理対策や調査技術の体系化を目標に、リスク管理手法の整理と情報共有体制を検討する。
サブテーマ2「緊急時における化学物質の迅速調査手法の開発と沿岸生態系の変動予測」では、簡易調査手法の開発では、親水性物質に対応する自動同定定量システム(AIQS-LC)を新たに立ち上げ、災害時の懸念物質(約200物質)に関するデータ(質量分析結果、ピーク検出時間等)をシステムに収載して実装する。一方、沿岸生態系の変動予測では、津波や油汚染の規模・強度と沿岸生物群集への影響を解析し、津波による干潟への影響を定量的に予測する。また、国内に流通する石油製品の情報を網羅的に集約し、陸域から海域に流出しやすい製品を把握する。
サブテーマ3「緊急時の健康影響と曝露調査ツールの開発や調査体制の構築」では、地方公共団体や大学、企業との連携による災害時における緊急、中長期の疫学・曝露調査の机上演習等を実施し、連携時の課題抽出と体制整備に必要なロードマップの作成に着手する。
外部との連携
環境省環境調査研修所、地方環境研究所(40機関)、東北大学、高知大学、日本大学、宮城教育大学、東邦大学、岩手医科大学、NPO法人日本国際湿地保全連合、株式会社自然教育研究センター、公益財団法人ふくしま海洋科学館、大船渡市市民環境課、出光興産株式会社、National Institutes of Health (US)