- 研究課題コード
- 2125AA113
- 開始/終了年度
- 2021~2025年
研究概要
化学物質が人の健康と環境にもたらす悪影響の抑制は、化審法等の上流側規制と、環境基準等の下流側規制により一定の成果を上げているものの、近年この枠組みを脅かすいくつかの懸念が発生している。例えば、少量多品種・代替品問題、新たな化学物質の開発ペースに比べてリスク評価のペースが追い付かない、従来想定・検出できなかった影響への対応ができていない 等、いずれも既存の枠組みで対応することは困難である。
本PJでは、これらの懸念に対応する上で必要な曝露把握の計測手法の整備を目指し、少量多品種による多重曝露問題への対応として活性骨格物質の一斉把握法の開発、複合影響問題への対応としてより多くの種類の化学物質を同時に測定する手法の開発、従来測定が困難で同定定量できずにいた化合物群の新規分析法の開発、及び新規影響が顕在化した際の要因探索に資するスキームの開発を行う。
これらの成果をもって環境中化学物質の実測可能範囲を拡大し、PJ4で実施されるモデル推計も補完しつつ全懸念物質への適用を見据えた包括的なリスク評価に資する。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
化学物質の多重・複合曝露による懸念の把握対象を拡大することを目指して、少量多品種化問題への対応も見据えた包括的な計測手法を開発する。親水性物質分析法の高度化、高極性物質や高分子型添加剤または分離困難物等の分離困難物について、前処理・機器測定法開発に取り組む。また生理活性共通基本骨格を有する物質の包括分析法を開発することによりMulti-target/Wide-range analysisを提案し、エコチル調査や、包括健康・生態リスク指標において活用可能な計測手法を提案する。
今年度の研究概要
懸念化学物質の多重・複合曝露の把握を目指し、類似構造物質群の GC/MS測定データからの選定法、分子鋳型等を用いた選択的捕集法の開発、LC/ESI-MSの高感度化の検討を進めるとともに、試料前処理の困難な高揮発性及び両イオン性物質を含む有機フッ素化合物(PFAS)の水底質及び生物分析法、及び機器測定の困難な縮合型及び重合型添加剤を含むプラスチック含有化学物質の網羅分析法を検討する。
課題代表者
中島 大介
- 環境リスク・健康領域
- 副領域長
- 博士(薬学)
- 薬学,化学