- 予算区分
- 共創の場形成支援プログラム
- 研究課題コード
- 2129TZ001
- 開始/終了年度
- 2021~2029年
- キーワード(日本語)
- 領域再解析,気候シナリオ
- キーワード(英語)
- regional reanalysis,climate scenario
研究概要
社会設計の前提となる基盤データとして、最新の気象モデル技術と衛星等の観測技術を融合した再解析を実施し、周辺海域を含む日本域の過去から現在に至る時・空間4次元気象データを整備する。日本各地の気候変動の評価や、過去に発生した気象リスクの影響分析などをはじめ、社会・産業のあらゆる分野において様々な気象情報を戦略的かつ有機的に利活用可能とする体制を「共創の場」として構築する。
ウィズ・コロナの近未来を安全・安心で活気ある社会へと共創するべく、エネルギー、交通・物流、まちづくり、農林水産業、ものづくり、情報、防災・減災、医療・福祉、保険・金融等、多様な産業分野・地域での産学官公連携により社会イノベーション創出をめざす。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
1.全国汎用気候シナリオ開発に向けた気象データの活用
国立環境研究所気候変動適応センターでは国内の適応施策に資する多分野で共通的に利用可能な全国汎用気候シナリオの開発を行っている。気候シナリオは全球・領域気候モデルによる予測結果を利用するものの、バイアスを除去するにあたり、過去の信頼性の高い気象データが不可欠である。現在利用している地上観測に基づく気象データに加え、本プロジェクトで開発される高時空間解像度の再解析データを活用する手法を開発し、数年おきに更新される予定の全国汎用気候シナリオ作成に利用する。また、気候変動影響評価や適応策を実施する際の気象・気候データのニーズを幅広く収集・整理する。
2.山岳域の生態系影響評価に向けた気象データの活用
現在の全国汎用気候シナリオによる課題の一つとして、山岳域の時空間解像度と特に積雪降雪の精度の不足がある。この課題は、特に山岳域での生態系影響評価などにおいて、大きな問題となる。国立環境研が研究・モニタリングを進める北海道や北アルプスなどを対象とし、新しい再解析が同地域の気候シナリオ開発ならびに影響評価に活用しうるかを分野横断的に調査し、影響評価の高度化を実現する。
3. 暑熱等の健康影響評価に向けた気象データの活用
現在の全国汎用気候シナリオは日単位で提供されているが、暑熱等による健康影響評価の実施に際しては、面的で高い時間解像度をもつ気象データの活用が望まれる。国立環境研が研究・モニタリングを進める熱中症等の研究において、新しい再解析が影響評価に活用しうるかを調査し、影響評価の高度化を実現する。
今年度の研究概要
令和5年度は全国汎用気候シナリオ開発に向けて、現在入手可能な気象再解析データの解析を行い、多様な気象要素・地理条件においてのバイアス補正に関する基礎的な検討を行う。
外部との連携
東京大学他、多数の機関。https://climcore.rcast.u-tokyo.ac.jp/