- 研究課題コード
- 2121BY001
- 開始/終了年度
- 2021~2021年
- キーワード(日本語)
- 気候変動,閉鎖性海域,水環境,影響予測,適応策
- キーワード(英語)
- climate change,enclosed coastal sea,water environment,impact prediction,adaptation
研究概要
気候変動適応法や瀬戸内海環境保全基本計画において、気候変動が閉鎖性海域の水環境・生態系に及ぼす影響の評価・予測と適応策に関する調査研究が求められている。本研究では、瀬戸内海をはじめとする国内の閉鎖性海域を対象として、1970 年代以降における水温・水質や底生動物の長期変遷と気候変動影響の関係性の評価、植物プランクトンへの気候変動影響の実験的検討、数値シミュレーションモデルによる影響予測を実施し、閉鎖性海域における水環境分野の適応策を提示する。
研究の性格
- 主たるもの:行政支援調査・研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
瀬戸内海をはじめ国内閉鎖性海域の水温・水質や底生動物の長期モニタリングデータを収集し、これらの長期変動傾向と気候変動影響の関係性を解析する。水質・生物生産性の基礎となる植物プランクトンの培養実験を実施し、気候変動による水温、光量、栄養塩濃度などの変化が一次生産や優占種交代に及ぼす影響について検討する。東京湾、伊勢湾、瀬戸内海を対象としてRCPシナリオに基づく将来予測シミュレーションを実施し、閉鎖性海域の水環境への気候変動影響を明らかにするとともに、陸域負荷管理に基づく適応策の検討を行う。
今年度の研究概要
水温・水質モニタリングデータの解析については、東京湾及び伊勢湾の湾口部から外洋における長期変動解析を行い、先行実施した湾奥部の解析結果との比較を通じて、湾奥部の水温変動に外洋が及ぼす影響を検討する。底生動物については、数値シミュレーションで予測された将来気候下の底層環境における底生動物群集の応答予測を行う。植物プランクトンについては、多頻度培地交換型半連続培養装置を用いた培養実験により、瀬戸内海の代表的な優占種の低栄養塩条件における増殖応答を詳細に検討する。モデルシミュレーションについては、東京湾、伊勢・三河湾、瀬戸内海を対象に開発した陸域−海域モデルの再現性の向上を図るとともに、水平解像度2kmの高解像度気候シナリオ(MRI-NHRCM02)に基づく影響予測シミュレーションを実施する。また、水環境保全の適応策として必要な陸域負荷管理を検討し、その効果評価を行う。