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多媒体環境における放射性物質の動態解明及び将来予測(平成 26年度)
Analysis and Prediction of Radioactive Substances Behavior in Multimedia Environment

予算区分
AR 震災対応
研究課題コード
1418AR001
開始/終了年度
2014~2018年
キーワード(日本語)
放射性セシウム,移行,移動,集積,予測
キーワード(英語)
radioactive cesium, transfer, migration, accumulation, prediction

研究概要

放射性セシウム汚染による内部・外部各経路からの被曝に対するリスクを出来るだけ低減することで、福島県民の方の安全・安心な生活を確保することが求められている。さらには、除染等積極的かつ効果的な対策の推進によって、避難指示解除準備区域や居住制限区域等への出来るだけ早い帰還が要望されている。以上を鑑み、流域圏における放射性セシウムの移動と集積、動植物生態系への移行状況を正確に把握することを目的として研究に取り組む。これにより、十分な確度を有した科学的データを集積、発信することによって、被曝リスクの低減や早期帰還に関する施策・取組へ積極的に貢献する。さらには、出来るだけ速やかに環境回復を進め、福島県民の方の安全・安心な生活を確保していく上で、上記調査結果を踏まえ、大気、陸域、沿岸域をそれぞれ対象とした多媒体環境モデリングの構築と活用を推し進める。これによって、除染等の対策の効果予測も含めた汚染の推移を、長期に亘って予測する。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

サブテーマ1:流域圏における放射性セシウムの動態解明
(1) 福島県浜通り地方主要河川流域を対象とした放射性セシウムの動態計測
・浜通り地方北部地域の主要河川流域を対象として、自動水文観測システムの整備と河川水や流入水域における底質採取調査から成る放射性セシウム動態計測体制を構築し、調査データの集積を図る。
・存在形態別セシウムの測定手法の開発と適用を行い、生物可給性セシウムの定量化を図る。
・上記調査ならびに分析結果を基に、流域圏を対象として、放射性セシウムのストック・フロー解析を行い、移動と集積に係る実態と今後の推移を明らかにする。
(2) 各種生態系への放射性セシウム移行実態の把握と移行特性の解析
・浜通りモデル河川流域を対象に、水生生物における放射性セシウム汚染実態調査を行う。
・上記汚染実態調査結果と安定同位体を用いた食物網解析結果を基に、水生生物へのセシウム移行特性を明らかとする。
・汚染地域全般を対象とした既存の調査結果のデータベース化を進めるとともに、これらデータも活用した統計モデルを構築し、水生生物における汚染の推移を予測する。
サブテーマ2:流域圏における多媒体環境モデリング
(1) 大気、陸域、沿岸海域それぞれを対象としたモデルの構築や改良
・大気については再飛散、陸域については空間スケールの詳細化、沿岸海域については海底への蓄積・底生生物への取り込みをそれぞれ対象として、モデルの構築や改良を実施する。
(2) 放射性物質の陸域、海洋での長期的な動態予測および除染等対策に関するシナリオ分析の実施
・上記モデルを用い、陸域や海洋を対象とした放射性物質の長期的な動態予測を実施する。
・除染等対策に関するシナリオを導入し、それらの効果に対する分析を実施する。

今年度の研究概要

サブテーマ1:流域圏における放射性セシウムの動態解明
・流域圏スケールでの放射性セシウムの移動集積実態の把握を目的として、宇多川流域を対象とした動態計測調査を継続実施する。
・流域圏スケールでの放射性セシウムの動態における上流域ダム湖の役割と影響の評価を目的として、太田川流域横川ダムを対象に、ダム湖における放射性セシウム収支調査を実施する。
・水生生物における放射性セシウム汚染実態の把握を目的として、真野川ならびに真野ダム湖(はやま湖)を対象に水生生物調査を実施する。

サブテーマ2:流域圏における多媒体環境モデリング
大気モデルでは初期濃度場の再評価や再飛散過程、陸域モデルでは土壌流出過程、海洋モデルでは沈降・堆積・巻上過程にそれぞれ着目して精緻なモデリング研究を進め、各対象媒体での放射性セシウムの動態をより詳細に明らかにする。

外部との連携

福島県環境創造センターの研究部門を共に担う(独)日本原子力研究開発機構 (JAEA) と連携し、福島県内において中長期的な視点に立った環境回復と復興が求められる浜通り地方全域を対象に、流域圏スケールでの放射性物質の動態解明及びその将来予測研究を推進する。これら研究成果に基づき、中通り地方 (阿武隈川流域) や一部浜通り地方を対象として研究を進めている筑波大学を中心とする大学連合や、会津地方を対象に調査研究に着手する福島県とIAEAによる共同研究プロジェクト等と積極的な研究交流を推し進める。これにより、福島県、JAEAとの協働の下、福島県環境創造センターを多媒体環境における放射性物質動態に関する知見集約の場としつつ、今後長期に亘る国内での動態解明・将来予測研究を主導する役割を担う。

備考

研究課題名「多媒体での放射性物質実態把握・動態解明」(課題コード:1215AP120)の一部として実施していた研究を、新規課題として登録

関連する研究課題

課題代表者

林 誠二

  • 福島地域協働研究拠点
  • 研究グループ長
  • 博士(工学)
  • 土木工学,林学
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担当者