- 予算区分
- BE 環境-推進費(補助金)
- 研究課題コード
- 1214BE001
- 開始/終了年度
- 2012~2014年
- キーワード(日本語)
- 石綿,災害廃棄物
- キーワード(英語)
- Asbestos, Disaster wastes
研究概要
東日本大震災では多くの建築物等が倒壊・損傷したが、がれきや被災建築物の解体等により生じる災害廃棄物には石綿混入の可能性がある。これらの災害廃棄物の処理過程や被災建築物の解体において、石綿含有物の除去あるいは破砕処理過程における除塵対策等、適切な措置がとられない場合に石綿曝露による健康被害を引き起こす恐れがある。そこで本研究においては、(1)災害廃棄物や被災建
築物等に含まれる石綿含有物の迅速判定方法、(2)被災地における石綿含有物の発生量推定方法、(3)災害廃棄物の処理過程での石綿混入及び石綿飛散対策方法の検討を行う。
(1)のサブテーマにおいては、災害廃棄物中の石綿含有物の有無を迅速かつ簡易に判定できる方法について検討する。また、被災建築物の石綿含有建材使用の有無を主に目視判定するための方法について検討する。いずれの方法についても実際の災害廃棄物や被災建築物に適用して有効性について評価する。
(2)のサブテーマにおいては、建築物の築年数や構造毎に石綿含有の有無やその使用量について推定する方法、また被災地の属性(都市、工業地域、農漁業地域等)毎の建築物の分布を推定する方法について検討し、これらから被災地における石綿含有物の発生量を推定するスキームについて開発・評価する。
(3)のサブテーマにおいては、主に石綿を飛散しやすい破砕選別過程に石綿含有物が混入することを防止するための手法、また破砕過程での石綿飛散を制御するための手法について検討する。また、災害廃棄物やそれが混入した土壌等からの石綿飛散量について実験的に検討するとともに、それを抑制する手法について検討する。
以上の研究を通じ、現在進められている東日本大震災あるいは今後発生するおそれのある災害廃棄物処理での石綿健康被害防止に貢献することを目指す。
研究の性格
- 主たるもの:行政支援調査・研究
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
災害時に際し、復旧・復興のための作業等における石綿曝露による健康被害を未然に防止するための石綿の適正管理手法の確立を目指す。
(1)災害廃棄物中の石綿含有物、被災建築物の石綿含有建材の有無を迅速かつ簡易に判定する方法を取りまとめ、現場で石綿含有物を適切に管理できる方法として提供する。従来技術による石綿含有の判定には短くとも約1日を要するが、本研究においては、災害廃棄物処理や被災建築物の解体において石綿含有の判定が時間的なネックとならない1〜2時間以内での判定が可能な技術を開発する。
(2)被災地における石綿含有物の発生量を推定できる方法を開発し、将来的に災害が発生した場合に石綿含有物を適切に処理する計画立案のための基礎データを提供する。従来は被災地の石綿含有廃棄物の発生量を推定する手法は存在しなかったが、本研究においては、類型化された被災地の面積から石綿含有廃棄物の発生量を推定する技術の開発を目指す。
(3)災害廃棄物処理過程において、石綿混入を防ぐための方法、また石綿飛散防止方法について取りまとめる。また、災害廃棄物やそれが混入した土壌からの石綿飛散量について知見を得る。従来技術では一旦混入した石綿含有物を処理過程で除去することは困難であるが、本研究においては、破砕残渣中の石綿を分析した際に石綿が不検出であることを担保する技術の開発を目指す。
(4)「災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアル」(H19)について、その実効性を評価するとともに、将来的な改訂に向けての知見を集約する。
今年度の研究概要
災害廃棄物中の石綿含有物、被災建築物の石綿含有建材の判定法に関して、前年度に取りまとめた手法の現場適用から有効性の評価や留意点等課題の抽出を行い、それぞれマニュアルとして整備を行う。偏光顕微鏡法による分析に関して、石綿含有基準付近での分析結果の信頼性の検討を行う。被災地における石綿含有物発生量推計手法の検討に関して、都市、港湾、工業、農業といった類型化された地域毎の建築物の分布について検討し、それぞれの地域について被災面積と建築物数との関係について整理し、。災害廃棄物処理過程での石綿混入防止、飛散防止については、レベル3建材が混入していない災害廃棄物について事前分別等の効果について検討する。また、破砕選別過程での石綿飛散について、集じん装置等を導入した場合の飛散低減効果について検討する。石綿含有成形板の破砕実験と作業者の曝露量を結びつけるモデルの開発を進める。石綿混入土壌からの石綿飛散量把握やその制御(湿潤化、飛散防止剤)について実験的検討を行う。
外部との連携
分担研究者:貴田晶子(愛媛大学)、酒井伸一(京都大学)、外山尚紀(労働科学研究所)、豊口敏之(環境管理センター)
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