- 予算区分
- AO 分野横断
- 研究課題コード
- 1214AO001
- 開始/終了年度
- 2012~2014年
- キーワード(日本語)
- 二次生成有機エアロゾル,排出インベントリー,CMAQ,毒性試験,疫学調査
- キーワード(英語)
- Secondary Organic Aerosol, Emission Inventory, CMAQ, Toxicity Evaluation, Epidemiological Survey
研究概要
2009年秋にPM2.5粒子状物質の重量濃度に対する環境基準が設定され、今後は基準達成のため、粒子状物質(以下Particulate Matter: PM)の環境動態に基づいた発生源対策が必要となる。関東地域では、移動発生源(自動車など)への規制が強化され、大気中に排出される物質量は半減したともいわれているが、PM濃度は平均で十数microgm-3程度あり、環境基準の達成は依然として困難な状況にある。これは移動発生源以外にも野焼きや調理など多様な発生源が存在していることを示しているが、国内の発生源情報は未整備の部分が多い。
大気中のPM2.5は硫酸塩(SO4)、硝酸塩(NO3)、有機物が主要成分である。これまで、国環研でも特別研究などでPMの環境動態を解明してきたが、未解明の問題は化学輸送モデル(Chemical Transport Model: CTM)で計算された有機物の濃度が観測と比べ大幅に過小評価している点である。PMの大気濃度分布が再現できなければ、「どこからどこへ」という物質輸送情報が得られず、発生源対策を行うことができない。PMにおける有機物の問題は世界的にも未解決であり、今後、時間がかかっても解決するべき課題である。
環境基準は人間への健康影響の観点から決定された。しかし、ガス状物質から生成する二次生成有機粒子(Secondary Organic Aerosol: SOA)の毒性は不明であり、どの物質にどの程度曝露されると危険であるか、未だ不明である。また、環境基準決定に際し、国内データが少ないため、アメリカなど外国の疫学データに依存している部分が多く、わが国の実態に合わない可能性がある。
今回申請するに当たり「国内におけるPMの削減」という目標のもと、長期的視野に基づき何をすべきかを検討し、以下の2点を明らかにすることを本課題の目標とする。
a)発生源情報、大気動態の基礎的理解に基づいた、大気濃度分布の把握
b)化学組成に基づいたPM2.5粒子状物質の毒性・健康影響評価
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
全体の研究概要は、大気中の粒子状物質(PM)について発生源情報の精緻化、大気中の濃度分布解明、PMの毒性および疫学的研究を行うことである。
発生源情報の精緻化については国内の排出情報を整備するとともに、野焼き、粒子からの揮発成分の蒸発特性について明らかにする。大気濃度分布の実態把握については、主として有機化合物に関して反応・粒子化の過程を理解し改良し、シミュレーションの精度向上を図る。PMの毒性および疫学的研究についてはPM吸入曝露方法の開発、毒性試験を行い、毒性が発現する条件を明らかにする。また疫学研究の結果を利用し、PMの健康影響を評価する。
以下、各年度の計画の概要である
H24年度
1)国内EI調査、野焼き実証試験
2)VOCの反応・SOA粒子化の計算過程改良
3)典型的SOAの毒性スクリーニング、PM吸入曝露手法の開発
4)疫学調査データ収集
H25年度
1)国内EI統計整備、野焼き実証試験、POA希釈実験
2)有機指標成分の同定、CTMモジュールの改良、屋外大気観測
3)毒性スクリーニングと絞込み、PM吸入曝露手法の開発
4)曝露—影響関数データ収集
H26年度
1)国内EI整備、POA希釈実験
2)大気濃度分布計算と既存データとの検証
3)毒性SOA絞込み、Toxoic_SOAの分布作成、影響評価
4)PMの健康影響マップ作成、影響評価
今年度の研究概要
発生源情報の精緻化については国内の排出情報を整備する。また、粒子からの揮発成分の蒸発特性について明らかにする。大気濃度分布の実態把握に関しては、有機化合物に関して反応・粒子化の過程を理解し改良し、シミュレーションの精度向上を図る。PMの毒性および疫学的研究については、PM吸入曝露方法の開発、毒性スクリーニング、PMの健康影響調査を行う。
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