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東アジアの水・物質循環評価システムの開発(平成 23年度)
Development of the systems for evaluating regional water and material cycles in East Asia

研究課題コード
0610AA402
開始/終了年度
2006~2012年
キーワード(日本語)
水環境,物質循環,持続的環境管理,技術オプション
キーワード(英語)
WATER ENVIRONMENTS, MATERIAL CYCLES, SUSTAINABLE ENVIRONMENTAL MANAGEMENT, TECHNOLOGY ALTERNATIVES

研究概要

長江、黄河等東アジア地域の都市・流域圏では、急速な経済発展に伴う水需要量や水質汚濁負荷の増大によって、陸域の水不足と水汚染、沿岸域・海域生態系の劣化が深刻化すると共に、流域圏に支えられかつ流域圏に負荷を及ぼしている都市におけるエネルギー・水資源制約および水質の問題がいっそう深刻化している。これらの問題は、中国のみならず、日本および東アジア各国に直接的、間接的に影響を及ぼしている。これらの影響およびそれの対策技術・政策の適応性と効果を定量的に評価し、持続可能な水環境管理に向けた科学的基盤の確立が緊急の課題になっている。本研究プロジェクトでは、国際共同研究による東アジアの流域圏、沿岸域・海域および拠点都市における水環境に関する科学的知見の集積と持続可能な水環境管理に必要なツールの確立を目指し、観測とモデルを組合せ、水・物質循環評価システムの開発を目的とする。特に、都市、農村と流域生態系の共生の視点から、都市・流域圏における技術・施策の導入によるケーススタディの結果に基づく、適切な技術システムと政策プログラムの設計を含む流域の長期シナリオ・ビジョンを構築するための方法論の開発を目指している。

今年度の研究概要

 全体的には、これまで5年間の研究成果を纏め、今後の研究課題を抽出し、方向性を提示する。具体的には、サブテーマ毎の研究計画は以下である。

(1) 流域圏における水・物質循環観測・評価システムの構築
 これまでに構築した観測システムによる連続観測を継続すると同時に、これまで蓄積した観測データを用いて、長江流域の陸域起源の汚濁物質の空間分布、経年変動などを分析し、水環境の実態をまとめる。また、これまでに開発したモデルを用いて、南水北調など流域改造活動の影響評価を実施する。さらに、総合地球推進費プロジェクト(H21-H23)が掲げた陸から海への統合的環境管理の目標を達成するために、これまでに開発した評価モデルを長江全流域へ適用する試みを行う。

(2) 長江起源水が東シナ海の海洋環境・生態系に及ぼす影響の解明
 東シナ海陸棚域の低次生態系の変調の兆しである渦鞭毛藻の発現機構解明のため、藻類の鉛直分布と水塊構造の関係に着目した海洋調査を継続するとともに、中国大陸の環境変化・汚濁負荷発生インベントリとの関連性をより詳細に検討する。さらに、渦鞭毛藻の鉛直分布形成過程の再現精度の向上を目指して流動・低次水界生態系モデルの改良に取り組む。

(3) 拠点都市における技術・政策インベントリとその評価システムの構築
 都市・流域圏における技術・施策の導入によるケーススタディとして、日中両国環境省間での「環境にやさしい都市」連携への研究情報発信を進め、川崎市と瀋陽市における評価システムの検証と実用的な技術政策シミュレーションを行う。国内都市については、川崎市における都市街区観測実験の検証、川崎市及び国内エコタウン都市の環境技術のLCAインベントリの蓄積を進めることに加え、街区スケールのエネルギー制御システム技術(UCPS)の実証開発を完了する。アジアの都市については、中国科学院応用生態研究所・遼寧省環境科学研究所、瀋陽市環境保護局、日中友好環境保全センターとの連携の具体化を行い、環境技術・政策の環境影響及び経済影響の政策効果を評価する。また、瀋陽における環境都市評価システムをプロトタイプとして、JICA循環経済プロジェクト等と連携して、中国の都市への展開を進めると共に、国連機関およびIGESと連携して東南アジア都市への研究展開フレームを構築する。

備考

海外共同研究機関:長江水利委員会、中国科学院地理科学与資源研究所、浙江海洋大学、上海水産大学、中国科学院瀋陽応用生態研究所、日中友好環境保全センター、中国環境科学研究院、清華大学、大連理工大学、武漢大学、南開大学、瀋陽大学、遼寧省環境科学研究院、国連環境計画国際環境技術センター、瀋陽市環境保護部、韓国蔚山大学等

課題代表者

王 勤学

  • 地域環境保全領域
  • 主席研究員
  • 地球環境学 博士
  • 地理学,地学,農学
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担当者