平成11年度地方公共団体公害研究機関と国立環境研究所との共同研究課題について
瀬山 春彦
地方公共団体公害研究機関(地公研)と国立環境研究所(国環研)が緊密な協力のもとに環境研究をより一層発展させていくことを目標として,地公研と国環研の共同研究が平成元年度より開始された。平成10年度は,27地公研と52課題の共同研究が実施されており,活発な研究交流を通じて環境研究の活性化に大きな役割を果たしている。平成11年度については,表に示すように,現在まで25研究機関から41課題の応募が寄せられているが,毎年,年度途中からの新規共同研究課題提案があるので,最終的に50課題程度の共同研究が実施されるものと予想される。共同研究は,地公研と国環研の研究者の協議により研究計画を決定し,それに従って各々の研究所で研究を進めるものが大多数であるが,地公研の研究者が国環研において共同研究を行う形式のものも行われている。来年度もこの共同研究を通じて,地公研と国環研双方の研究者が互いに交流し,切磋琢磨することにより,21世紀へ向けてより良い環境を築くための研究の発展に寄与できるものと考えている。
表 平成11年度地方公共団体公害研究機関と国立環境研究所との共同研究課題一覧
地公研機関名 |
課題名 |
国環研担当者 |
北海道環境科学研究センター |
河川における農薬流出量の定量評価の研究 |
井上隆信 |
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湖沼の N, P, Si 含量及びその元素比と植物プランクトン組成に関する研究 |
高村典子 |
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リモートセンシングによる自然環境モニタリング手法の研究 |
田村正行 |
青森県環境保健センター |
湖沼の N, P, Si 含量及びその元素比と植物プランクトン組成に関する研究 |
高村典子 |
宮城県保健環境センター |
外因性内分泌撹乱化学物質の環境動態と生物影響に関する研究 |
森田昌敏・堀口敏宏 |
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環境汚染物質であるダイオキシン類の分析法に関する研究 |
森田昌敏・伊藤裕康 |
福島県衛生公害研究所 |
酸性降下物に含まれる微量成分(セレン,テルル等)の測定法の検討と応用 |
佐竹研一 |
新潟県保健環境科学研究所 |
環境試料中ダイオキシン類の分析方法に関する研究 |
伊藤裕康 |
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廃棄物等から発生する揮発性有機化合物類の同定と定量 |
安原昭夫 |
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河川中における内分泌撹乱化学物質の存在と生態系への影響評価 |
畠山成久 |
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新潟県六日町地域の地盤の圧縮特性と消雪用地下水の揚水による地盤沈下 |
陶野郁雄 |
千葉県廃棄物情報技術センター |
環境試料中ダイオキシン類の分析方法に関する研究 |
森田昌敏・伊藤裕康 |
東京都環境科学研究所 |
有用生物と資源を活用した汚濁水域の水質浄化・リサイクル・修復エコシステムの開発(水生生物の生息環境の向上を目指した海域の護岸改良材としての有用資源の活用) |
稲森悠平 |
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環境試料中ダイオキシン類の分析方法に関する研究 |
伊藤裕康 |
横浜市環境科学研究所 |
人工衛星データによる湖沼及び湾のクロロフィルa濃度の推定手法に関する研究 |
田村正行 |
富山県環境科学センター |
環境試料中ダイオキシン類の分析方法に関する研究 |
中杉修身・伊藤裕康・山本貴士 |
福井県環境科学センター |
有用生物と資源を活用した汚濁水域の水質浄化・リサイクル・修復エコシステムの開発 |
稲森悠平 |
長野県衛生公害研究所 |
山岳地域における酸性および酸化性物質の輸送と沈着過程に関する研究 |
村野健太郎・畠山史郎 |
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山岳地域におけるハロゲン化メチルの動態に関する研究 |
横内陽子 |
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廃棄物埋立処分に起因する有害物質による環境影響評価に関する研究 |
白石寛明 |
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水域におけるトリハロメタン等生成前駆物質の挙動に関する研究 |
今井章雄 |
長野県自然保護研究所 |
衛星データを用いた植生分類における地形効果補正の有効性の検証 |
田村正行 |
岐阜県保健環境研究所 |
環境中におけるダイオキシン類の分布に関する調査研究 |
森田昌敏・伊藤裕康 |
静岡県環境衛生科学研究所 |
地下水の要監視項目による汚染実態の解明 |
西川雅高 |
名古屋市環境科学研究所 |
微生物を利用した揮発性有機塩素化合物汚染の修復 |
矢木修身 |
大阪府公害監視センター |
有害化学物質による環境負荷の定量化とその影響の評価手法の検討 |
森口祐一 |
奈良県衛生研究所 |
酸性雨関連化合物の分布調査−湿性および乾性沈着量の測定手法と沈着量の把握および実態調査− |
村野健太郎・畠山史郎 |
兵庫県立公害研究所 |
道路沿道の局地NOx高濃度汚染とその対策に関する研究 |
上原 清・若松伸司 |
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山林域における水質形成と汚濁負荷流出過程に関する研究 |
井上隆信 |
鳥取県衛生研究所 |
藻類の異常発生機構に関する研究 |
矢木修身 |
岡山県環境保健センター |
難分解性化合物分解菌の検索および特性に関する研究 |
内山裕夫 |
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有用生物と資源を活用した汚濁水域の水質浄化・リサイクル・修復エコシステムの開発 |
稲森悠平 |
広島県保健環境センター |
汚濁水域の地域有用資源を活用した水質浄化・リサイクル・修復システムの開発 |
稲森悠平 |
福岡県保健環境研究所 |
リモートセンシング情報の特徴抽出による環境モニタリング |
田村正行 |
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河川における農薬流出量の定量評価の研究 |
井上隆信 |
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酸性汚染物質による環境汚染に関する研究 |
佐竹研一 |
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環境水中の要監視項目の汚染機構の解明 |
西川雅高 |
長崎県衛生公害研究所 |
長崎県における酸性物質及び酸化性物質等の挙動に関する研究 |
村野健太郎・畠山史郎 |
鹿児島県環境センター |
湖沼の N, P, Si 含量及びその元素比と植物プランクトン組成との関係に関する研究 |
高村典子 |
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九州南部(奄美大島・鹿児島等)地域における酸性,酸化性物質等の動態の解析に関する研究 |
村野健太郎・畠山史郎・佐竹研一 |
沖縄県衛生環境研究所 |
辺戸岬地上観測施設における環境酸性化物質の物質収支に関する研究 |
村野健太郎・畠山史郎 |
目次
- 環境研究者の人事交流を促進させる
- クロスメデイア型環境問題への展開
- ディーゼル排気による慢性呼吸器疾患発症機序の解明とリスク評価に関する研究研究プロジェクトの紹介(平成9年度終了特別研究)
- 化学物質の生態影響評価のためのバイオモニタリング手法の開発に関する研究研究プロジェクトの紹介(平成9年度終了特別研究)
- 廃棄物埋立処分に起因する有害物質暴露量の評価手法に関する研究研究プロジェクトの紹介(平成9年度終了特別研究)
- PRTR(環境汚染物質排出・移動登録)環境問題豆知識
- ケンブリッジ(イギリス)滞在記随想
- デファレンシャルGPSを活用した湖沼調査法−尾瀬沼における事例−研究ノート
- 平成11年度国立環境研究所関係予算案の概要について
- 植物との語らい研究ノート
- 新刊紹介
- 表彰
- 人事異動
- 編集後記