研究本館IIIの竣工
施設紹介
山崎 邦彦
国立環境研究所では,化学物質に関する研究,地球環境研究等を行うための基盤整備として,平成5年度補正予算により鉄筋コンクリート造4階建て,延べ面積4,021m2の研究本館IIIを建設し,本年10月に竣工式典を実施した。その主要施設・設備は次のとおりである。
1.化学物質研究関連
(1) 加速器質量分析設備:測定対象元素をイオン化し,高エネルギーに加速して質量分析する設備であり,微量同位体を極めて高感度で正確に分析できる。
(2) タンデム質量分析器:質量分析計を直列に2台接続した装置であり,有害化学物質による生体影響等に関する研究等を行う。
(3) フーリエ変換質量分析器:イオン化した化学物質の磁場中における回転周波数成分をフーリエ変換により求めることにより,分子量等が高感度かつ精度良く得られる。
(4) 有害化学物質関係実験室:有害化学物質に関連する各種実験を行う実験室であり,内部を陰圧にし化学物質の除去装置を設置するなど,外部への漏洩を防ぐための万全の管理体制を講じている。
2.地球環境研究関連
(1) 地球環境研究センター:地球環境研究の総合化,支援及び地球環境モニタリングを3つの柱として業務を実施している。国連環境計画地球資源情報データベース(GRID)事業の協力センターとして,GRID情報解析システムを設置し,データの作成,加工・解析,提供等を実施する。(本号「地球環境研究センター,3つの柱」を参照)
(2) ILAS/RIS衛星データ処理システム:8年度に打上げ予定の地球観測プラットフォーム技術衛星ADEOSに搭載されるセンサーILAS及びRISからの送信データを処理・解析することにより,オゾン層破壊状況等を監視・観測する。(国環研ニュースVol.14-1,3を参照)
(3) NOAA受信施設:米国海洋大気庁の気象衛星NOAAの観測画像を受信し処理することにより,東南アジアの熱帯林減少等を監視する。
(4) ミリ波分光施設:高さ70km付近までのより高々度のオゾン層の状況を,昼夜・天候を問わず観測する。
3.太陽エネルギー利用システム
太陽電池及び太陽熱給湯装置を設置し,エコオフィス区域で使用する電気及び各実験室で使用する温水を一部供給している。