「唐辛子とにんにくのハーモニー」
海外からのたより
水落 元之
現在私は国際協力事業団(JICA)の社会開発協力事業部の韓国水質改善システム開発プロジェクトのプロジェクトリーダーとして韓国国立環境研究院(ソウル市)へ派遣されています。ここへ来てまず困ったのは店の看板等を含め町中の表示の大部分がハングルだということです。次にソウルは人の溢れ返った大都会であるということです。元来都会の苦手な私にとっては大きな苦痛でありました。さらにつくばでは下駄のように使っていた車が使えず公共交通機関か,タクシーを利用しなくてはいけなかったことです。言葉がほとんど通じない中でタクシーを利用するのもなかなかスリルのあるもので,特に素面の時は緊張感に富んだ経験でありました。しかし,食べることと飲むことに関しては非常に興味深い土地であります。韓国の食文化のベースは唐辛子,にんにくそれと野菜です。唐辛子をこの国に持ち込んだのが日本人だったというのには驚きがありますが,とにかく現在では文化といって良いほど唐辛子の利用が洗練されています。にんにくについては唐辛子と非常に相性が良かったということではないでしょうか。この個性の強いふたつを上手にコントロールしているのが野菜です。韓国料理というと肉と思いがちですがやはり野菜が主役ではないかと思われます。単にキムチといってもその種類と味わいの豊富さには圧倒されるものがあります。また鍋料理の豊富さにも韓国料理の一つの特色ではないでしょうか。鍋料理はタン,チゲ,チョンゴルにも大別され,様々なバリエーションがあります。これを一つずつ味わっていくのもなかなか楽しみがあります。この日本人にとってはなかなか刺激的な料理に合うのが焼酎です。こちらの一般的な焼酎は日本の焼酎とは違い,かなり甘めに仕上がっており,それ自体は辛党の口にはあまり合わないかもしれませんが,唐辛子とにんにくの組み合わせに出会うと不思議と相性の良さを感じます。そしてひたすら明るく,たくさん食べてたくさん飲むことがこちらのスタイルです。
今年は韓国訪問の年といって,韓国目的であれば入国に関してビザが不要です。そのせいか町中で多くの日本人を見かけることができます。みなさんもこちらへいらっしゃってこちらのスタイルに埋没してみませんか。唐辛子とアルコールの刺激で混沌とした意識の中で近くて遠いこの国につて,これまでより多くの理解が得られるものと思います。

目次
- 国立環境研究所に期待すること巻頭言
- “持続可能な発展”はパラダイム・シフト?論評
- ピグマリオン効果論評
- "The Structure of a local population and dispersal pattern in the Styan's Grassh opper Warbler, Locustella pleskei." Hisashi Nagata: Ecological Research, 8,1-9.(1994)論文紹介
- Biological Effects of Diesel Exhaust Particles. I. In Vitro Production of Super oxide and In Vivo Toxicity in Mouse. Masaru Sagai, Hiroki Saito, Takamichi Ichinose, Masahiko Kodama & Yoki Mori, Free Radical Biol. Med., 14, 37-47 (1993)論文紹介
- 船底防汚塗料・有機スズによる海洋汚染と腹足類(巻貝)のインポセックス研究ノート
- 赤外線水分計を用いた岩石の水分飽和度の推定研究ノート
- 表彰・主要人事異動
- 編集後記