ライダーネットワーク研究のあゆみ
国立環境研究所には30年以上にわたるライダー観測研究の実績がありますが、ここではライダーネットワークの構築が始まった2001年以降の主な研究のあゆみを紹介します。
中国北東地域で発生する黄砂の三次元的輸送機構と環境負荷に関する研究
サブテーマ1 黄砂の輸送の三次元的動態把握に関する研究(2001~2005年度)※
2001年につくば、長崎、北京の3地点でライダーネットワーク観測を開始し、観測地点上空の黄砂の飛来頻度を統計的に解析したほか、黄砂の発生輸送を化学天気予報システム“CFORS”と比較して解析を行いました。また、偏光解消度を使って黄砂と大気汚染性エアロゾルの分布を分離する手法を開発しました。
東アジアにおけるエアロゾルの大気環境インパクト
計画研究ライダーによるエアロゾル性状の空間分布測定(2002~2005年度)※※
中国の合肥にライダーを設置したほか、大気汚染性エアロゾルのライダーネットワーク観測を行いました。
能動型と受動型リモートセンサーの複合利用による大気汚染エアロゾルと雲の気候影響研究
サブテーマ2 高スペクトル分解ライダー等による雲・エアロゾル観測の研究(2002~2006年度)※
航空機搭載ライダーによるエアロゾルと雲の観測、海洋地球研究船「みらい」によるエアロゾル・雲の観測とエアロゾル気候モデルとの比較を行ったほか、高スペクトル分解ライダーの開発と長期観測に取り組みました。
広域モニタリングネットワークによる黄砂の動態把握と予測・評価に関する研究
サブテーマ1 東アジアモニタリングネットワークによる黄砂動態の実時間的把握とデータ精度管理・利用法に関する研究(2006~2008年度)※
ライダー観測地点を充実させると同時にデータ精度管理手法と自動データ解析処理システムの確立を行いました。さらに九州大学と共同で、ライダーデータと“CFORS”を同化するデータ同化に取り組みました。
※は環境省地球環境研究総合推進費、※※は文部科学省科学研究費補助金特定領域研究によって行われました。
これらの研究は以下のスタッフ・組織によって実施されてきました(所属は当時、敬称略)。
研究担当者
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大気圏環境研究領域杉本 伸夫、松井 一郎、西澤 智明、原 由香里、Yan Chen、Shuli Zhao、Boyan Tatarov、Dashdondog Batdorj, Chenbo Xie
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アジア自然共生研究グループ清水 厚、菅田 誠治、早崎 将光
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環境研究基盤技術ラボラトリー西川 雅高、森 育子、高橋 克行
客員研究員
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村山 利幸(東京海洋大学)、荒生 公雄(長崎大学環境科学部)、鵜野 伊津志(九州大学応用力学研究所)、中島 映至(東京大学気候シ ステム研究センター)、小林 喬郎(福井大学)、藤吉 康志(北海道大学)、高村 民雄(千葉大学)、岡本 創(東北大学)
共同研究機関
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中華人民共和国環境保護部日中友好環境保全センター、中国科学院寒区旱区環境研究所、安徽光学精密機械研究所、大気物理研究所、フフホト市環境監測局、韓国キュンヒ大学、ソウル大学、モンゴル気象水文環境監視庁、タイ国チュラロンコン大学、北海道大学、東北大学、千葉大学、総合地球環境学研究所、情報通信研究機構、富山県環境科学センター、島根県保健環境科学研究所、長崎県環境保健研究センター、日本環境衛生センター・酸性雨研究センター