ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

難分解性溶存有機物
- 湖沼環境研究の新展開

環境儀 NO.13

今井章雄
未解明な問題が多い難分解性溶存有機物の研究。湖沼環境の改善にとって大切な研究です。

 河川などを通じて,生活排水や田畑などからの汚濁物質が流入する湖沼は,閉鎖性なためそれらが蓄積しやすく,水質改善は容易ではありません。それを裏づけるように,環境基準(河川がBOD,海域・湖沼がCOD)の達成率は河川・海域では80%前後と比較的高いのに比べ,湖沼では40%前半と低く,ここ30年間ほとんど同じレベルで推移しています。

 この間,下水道や浄化槽の整備など生活排水対策が進められていますが,その効果はなかなか現われていません。何が原因で湖沼の環境基準達成率は向上しないのでしょうか?

 国立環境研究所では,この原因の一つとして難分解性溶存有機物に着目しました。これらが湖沼に蓄積することによって,これまでとは異なる新しいタイプの水質汚濁現象が進行していると推測し,平成9年からその解明に取り組んでいます。本号では「湖沼において増大する難分解性有機物の発生原因と影響評価に関する研究」で得られた成果をもとに,難分解性溶存有機物の特性や湖沼での動態,環境への影響などについて紹介します。