「黄砂研究のあゆみ」全体構成
第1期:大気エアロゾルの計測手法とその環境影響評価手法に関する研究(平成8~12年度)
中国の首都北京における大気エアロゾル汚染の実態解明を主目的とした研究であり,その中でも,寄与分が不明であった土壌由来のエアロゾル(主に黄砂)に注目して行いました。
課題1) 都市大気エアロゾルの化学成分別挙動に関する研究
北京の人為起源系粒子と土壌起源系粒子の混合割合を推計するため,化学成分から見た特徴を明らかにした。
課題2) 都市大気エアロゾルの評価手法に関する研究
従来から行われてきた化学成分濃度による評価の他,バイオアッセイ法による大気エアロゾルの質的評価手法の導入を試みた。
課題3) 土壌起源系エアロゾル特定のための標準物質の作製と高度測定手法の開発
砂漠表面土壌から乾式分級法だけで微粒子分を取り出し,世界初の黄砂標準物質を作った。完成した標準物質は,中国国家1級標準として認定された。
課題4) 都市大気中における土壌起源系エアロゾルの化学動態に関する研究
黄砂標準物質を使って,黄砂が自然環境中で関与する現象を室内実験で検証した。黄砂粒子表面に蓄積する硫酸イオンと硝酸イオンの取り込み機構を調べた。
課題5) 土壌起源系エアロゾルの寄与率および沈着量の推定に関する研究
北京の都市大気エアロゾルでは,人為起源の割合よりも土壌起源の割合が圧倒的に高く,特に,春季,冬季には,その寄与が大きかった。
第2期:中国北東地域で発生する黄砂の三次元的輸送機構と環境負荷に関する研究(平成13~15年度)
主にゴビ砂漠,黄土高原地帯で発生した黄砂が北京を経由し,日本に風送されていく現象について,発生源の絞り込み,輸送機構の解明,現象のモデリングを目指して,現在プロジェクト研究を進展中であり以下の3課題から構成されている。
課題1) 黄砂の三次元的動態把握に関する研究
課題2) 黄砂の輸送過程中での化学的動態変化に関する研究
課題3) 黄砂の三次元的輸送モデルの構築と負荷量推定に関する研究
第一期は平成8~12年度特別研究として,第二期は平成13~15年度地球環境研究総合推進費研究として,以下のスタッフにより,実施されています。
研究担当者
第一期
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地域環境研究グループ森田 昌敏,西川 雅高,吉永 淳
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化学環境部瀬山 晴彦,久米 博,白石 不二雄
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大気圏環境部福山 力,内山 政弘
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国際室植弘 崇嗣
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科学技術特別研究員森 育子
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共同研究機関名古屋大学,埼玉大学,大阪府立大学,東海大学,熊本県立大学,石川県農業短期大学,
日中友好環境保全センター(中国)
第二期
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化学環境研究領域西川 雅高,森 育子(NIESポスドクフェロー),的場 澄人(重点研究支援協力員)
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大気圏環境研究領域杉本 伸夫,菅田 誠治,松井 一郎,清水 厚,早崎 将光(重点研究支援協力員)
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共同研究機関筑波大学,埼玉大学,東京商船大学,九州大学,長崎大学,日中友好環境保全センター(中国)