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黄砂研究最前線
- 科学的観測手法で黄砂の流れを遡る

環境儀 NO.8

西川雅高
最先端観測手法による中国の大気エアロゾルモニタリングは東アジア地域の大気環境改善のカギになります。

 昨年日本では,観測史上最多の黄砂の飛来が確認されました。今年も春先の3〜5月にかけて,また黄砂のシーズンがやってきます。日本では旅客機の発着が遅れるなどの交通被害が報道されていますが,中国では農作物被害を始めさまざな分野に大きな影響が出ており,その被害額は日本円に換算して毎年 7000億円にも達しているといわれています。

 この黄砂ですが,これまでは目視観測で行われてきたため,どこで発生し,どのように移動し,どこにどれだけの量が沈着するかなどの詳細な科学的データはまったくありませんでした。国立環境研究所では,黄砂問題を中国一国ではなく東アジア地域全体の問題として捉え,その科学的解明をめざし,平成8年度から日中友好環境保全センターと共同で研究に取り組んでいます。

 本号では「大気エアロゾルの計測手法とその環境影響評価手法に関する研究」から端を発した,黄砂の化学的動態に関する基本的データや新手法による黄砂モニタリングやモデリングの話題などを中心に紹介します。