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講演5:「日本の排出量の現状・動向及び推計方法」

野尻 幸宏(のじり ゆきひろ)
国立環境研究所地球環境研究センター 副センター長  地球環境研究センター 温室効果ガスインベントリオフィス マネージャー

講演概要:

日本は、京都議定書の付属書I国であるので、温室効果ガスの排出・吸収量目録(インベントリ)の国内推計システムを整備し、毎年のインベントリを国連に提出する義務を負っています。国立環境研究所の温室効果ガスインベントリオフィス(GIO)は、国内システムの中で、インベントリの算定、編集及び全てのデータの保存・管理を行うことに責任を持つ機関です。

講演では、そのインベントリをどのように作るかについて解説しますが、国単位の温室効果ガスの排出・吸収量は、大気濃度を測定して求めることができるわけではありません。積み上げによる算定を行うことが、IPCCのガイドラインで定めら、それに基本的に従った算定をします。例えば、温室効果ガス総排出量のうちで最も大きな割合を占めるエネルギー起源CO2については、総合エネルギー統計を中心とする国や関係団体の統計を用いて、発生部門毎の算定を行っています。一般的に、活動量と排出係数と温暖化係数の積がCO2換算排出量であり、温暖化係数には決められた値を使うことから、活動量と排出係数の統計データが排出量算定の根拠になります。

温室効果ガス排出インベントリでは、1990年以来の時系列データを公式統計していますが、議定書の基準年比(1990年、ただしF-ガス類であるHFC, PFC, SF6は1995年)で、CO2換算総排出量は2006年現在で6.2%増になり、全ての排出部門で一層の対策強化が求められています。排出量の伸びは、民生・業務他、民生・家庭の両部門で30%増以上と特に著しいのに対し、CH4、N2O、F-ガス類はほぼ一貫して減少傾向にあります。

インベントリの整備体制においては、GIOが日本の排出量の算定を公正に行うことを求められていますが、GIOではインベントリの質を高めるために、国内専門家による算定方法検討会の支援、国内外の研究情報の収集、IPCCへの情報提供など、より精度の高いインベントリ作りに向けた活動も行っています。

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