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講演2:「京都議定書・削減目標とその今後」

亀山 康子(かめやま やすこ)
国立環境研究所地球環境研究センター 温暖化対策評価研究室 主任研究員

講演概要:

京都議定書には先進国等(附属書I国)に2008-2012年の5年間、排出量を各自決められた量に抑制・削減する目標が提示されている。

<先進各国の削減目標が決まったプロセス>

議定書交渉当時はまだ長期的な必要削減量が科学的に提示されておらず、温暖化緩和のための必要削減量よりは最大削減可能量という観点からの議論となった。EUが先進国一律削減率を主張しつつもEU域内では加盟国ごとに異なる削減率を定めていたため、日本や豪州等は国情を反映させた異なる削減率(差異化)を主張した。米国は世界レベルで排出枠取引制度が認められれば削減目標も受け入れ可能という姿勢を示した。京都議定書で最終的に合意された削減率はこれらの主張が反映されたものである。

<目標達成できないとどうなるか?>

2012年終了後、各国ごとに排出目録が専門家検討チームによって審査され、割当量を超過していることが分かった段階でそれに見合う排出枠を購入してくる調整期間が設けられている。それにもかかわらず排出枠を購入せず、目標を超過していることが確定した場合、①次期約束期間の排出削減義務に、第1約束期間の排出超過分の1.3倍の排出削減量の上乗せ、②次期約束期間における目標達成方法に関する行動計画の策定、③排出量取引において排出枠を売却する資格の停止、という措置が課される。

<途上国の参加を含む次期枠組>

次期枠組みに関する交渉が今年から始まった。この交渉の出発点として位置づけられるバリ行動計画(昨年12月にインドネシアのバリにて開催された第13回条約締約国会議、COP13、にて合意された文書)には、先進国のみならず途上国に対する義務についても議論の対象とすることが明記されている。京都議定書が採択されてからの10年間に中国やインドなどの新興国の温室効果ガス排出量は急増しており、今後、これらの国の排出量を効率的に抑制しつつゆたかになる、いわば持続可能な発展の実現に向 けた方策が話し合われることになる。

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