1990年3月30日
水界生態系に及ぼす有害汚染物質の影響評価に関する研究
昭和60〜63年度
国立公害研究所特別研究報告 SR-4-'90
この報告書で取り上げられている有害汚染物質は重金属と農薬である。重金属汚染については全国25河川についてその生物相調査結果がまとめられている。多くが銅,亜鉛,カドミウムの汚染で,汚染の程度が高ければ種類数は減少するのは予想通りであったが,特定の種ではむしろ現在量が増加していた。それら特定種の耐性機構が解明されたが,世界的にも注目すべきことである。
農薬汚染の実態は一部の河川,湖について明らかにされた。河川底生動物の中で除草剤の影響を受けると考えられるのは2種のコカゲロウで,そのうち1種は流下殺虫剤の影響も受ける。ユスリカ類は調査地点における農薬の濃度では影響を受けないことなど種による差が明らかとなった。農薬の生態系影響について実験的研究が各種の隔離水界等を用いて行われ,このレベルの試験も実用段階に入りうることが報告されている。
関連研究者
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