ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

主要SLCF排出インベントリの精緻化及びトップダウン推計比較による高精度化(令和 7年度)
Elaboration on emission inventories for major SLCFs with comparisons to top-down estimates

予算区分
2-2501
研究課題コード
2527BA003
開始/終了年度
2025~2027年
キーワード(日本語)
短寿命気候強制因子,大気化学輸送モデル,排出インベントリ
キーワード(英語)
Short-Lived Climate Forcers,Atmospheric chemistry transport model,Emission inventory

研究概要

IPCCで開始されるSLCF排出インベントリ方法論構築への貢献を念頭に、ブラックカーボン (BC)、一酸化炭素 (CO)等、主要なSLCFの排出インベントリの精緻化と、観測データとモデルを利用したトップダウン推計による精度向上に取り組み、国内及び国際的な視点で人為起源排出インベントリの正確性、信頼性、透明性の向上に資する。特に、これまで進めてきた東アジア(日中韓)における国別SLCFインベントリについての評価を継続し、国際連携により最新の野外観測や衛星観測、航空機観測のデータを入手、利用してトップダウン手法によるボトムアップ手法評価精度の向上に努め、日本については、BC排出量の過小評価要因を探るとともにこれまで推計されていなかった船舶からの排出インベントリ構築に取り組む。また、世界全体の排出量の3割を占める東アジアに次いでBCの排出が多い南アジア(インド)を対象に、利用できる観測データを対象にして、我々が構築してきた化学輸送モデルを応用して、観測・モデル比較を行い、排出量の評価、アジアモンスーンに駆動される長距離輸送の評価、北極の気候・環境への評価に取り組む。こうした研究により、特にアジアにおける人為起源SLCF排出インベントリを評価した結果を毎年公開して国際コミュニティ及び政策担当者に共有し、IPCC第七次評価報告書におけるCMIP7気候モデル計算に用いられる近年のインベントリ及び将来シナリオの妥当性の評価、北極評議会におけるBC及びCH4の専門家グループ会議(EGBCM)やAMAP/SLCFモデル比較といった国際枠組みに貢献し、東アジアにおけSLCF緩和策の推進への貢献を通じて、パリ協定の「1.5℃目標」早期実現、北極圏の気候変動対策に資する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

中国起源について、ブラックカーボン(BC)インベントリの評価精度を向上させるとともに、一酸化炭素 (CO)等の主要なSLCFについても観測データとモデルを利用したトップダウン手法を開発して評価する。また、南アジア(インド)を対象にBCのインベントリ及び長距離輸送を解析し、北極の気候・環境への潜在的影響を評価する。

今年度の研究概要

中国等、東アジア起源のBCに関するトップダウン推計手法について、使用するモデルや観測データの選択により差異が生じる要因を検討し、トップダウン手法の不確実性を狭めて高精度化する。中国起源BCについては最新年までデータを更新し、推計結果を公開する。また、BC以外の主要SLCFであるCOについて、タグトレーサー法による中国排出量の評価に向けてモデル計算と解析を開始する。

外部との連携

海洋研究開発機構、神戸大学、明星大学、日本自動車研究所

課題代表者

谷本 浩志

  • 地球システム領域
  • 領域長
  • 博士(理学)
  • 化学,物理学,地学
portrait

担当者