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PFAS含有廃棄物等に対する適正なリサイクル技術・システムの構築に関する研究(令和 7年度)
Study on the establishment of appropriate recycling technologies and systems for PFAS-containing waste materials

予算区分
環境問題対応型研究
研究課題コード
2527BA002
開始/終了年度
2025~2027年
キーワード(日本語)
廃活性炭,下水汚泥,賦活再生,溶融,有機フッ素化合物,分解
キーワード(英語)
Waste actvated carbon,Sewage sludge,Regenaration,Melting,PFAS,Degradation

研究概要

有機フッ素化合物(PFAS)の環境汚染に対する社会的高い関心と規制対象物質の増加により、今後、多様なPFAS含有廃棄物を安全に処理もしくはリサイクルする必要がある。特に関心の高い、もしくは厳しい規制が予想される廃棄物等を対象に、それらのリサイクルプロセスやリサイクル物の安全性や機能性に関する知見は少なく、今後のリサイクルの推進に大きな阻害となりかねない。また、環境汚染が懸念されるPFASや規制PFASの前駆体に対しても、リサイクルにおける挙動(媒体中のPFAS濃度やPFASの媒体間の分配)並びにPFASの分解・無機化(無害化)に関する知見も限られ、欧米の規制動向に遅れることなく、それらの知見を今から整備しておくことが重要である。そこで、本課題では、汚染懸念物質や前駆体を含むPFASを対象に、汚染の関心が高いPFAS含有廃棄物等、すなわち浄水場の廃活性炭や下水汚泥等を、水蒸気賦活(廃活性炭の再生)や溶融分離(高温によるスラグ化(土木資材化等))というリサイクル技術に供した際の、温度条件、空気雰囲気等がPFASの挙動等へ及ぼす影響を明らかにする。さらに、リサイクル物である再生活性炭やスラグの機能性・安全性を、適切な各種試験法にて評価し、機能性等に与える影響因子(リサイクル物の表面構造やリサイクル条件など)も明らかにする。また同時に、研究の基盤となる、廃棄物やリサイクル物に対する信頼性の高いPFAS等の分析法も構築する。最終的には、熱力学的な解析や物質収支解析等を用いて、リサイクル物の機能性を維持しつつも、バーゼル条約で適正処理として求められるPFASの分解率99.999%や無機化を達成するための条件を提示し、実機に近いスケールでPFASの分解性能等を検証する。この検証を基に、処理コストを踏まえて安全かつ効率的な既存の資源循環と調和したリサイクル技術システムを提案する。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

懸念物質や前駆体を含めたPFASを対象に、PFAS含有廃棄物等のリサイクルにおけるPFASの分解等の解析に適用できる分析基盤を構築する。浄水場の廃活性炭に水蒸気賦活再生を行い、廃活性炭の種類や再生条件ごとに、再生処理におけるPFASの分解率99.999%及び無機化を達成する条件を明らかにし、実機に近いスケールにて検証する。また、再生活性炭のPFASの吸着性や脱着性を明らかにし、浄水場等での再生活性炭の利用可能性を踏まえて、総合的に適切なリサイクルシステムを提示する。また下水汚泥等の溶融分離についても同様に、実機に近いスケールにて、PFASの分解率99,999%や無機化を達成する条件を検証するとともに、スラグの安全性を踏まえて、安全かつ効率的なリサイクルシステムを提示する。本成果より、安全に既存の資源循環と調和したPFAS含有廃棄物の対策に貢献する。

今年度の研究概要

サブテーマ1において、水蒸気賦活に関する研究では、実機にて、廃活性炭、再生活性炭、処理残渣等の採取を行い、それらのPFAS濃度やフッ素濃度を把握して、PFASの挙動等を推定する。試料等はサブテーマ2と共有する。また、水蒸気熱分解ガス化実験装置を用いて、廃活性炭の水蒸気賦活実験法を確立する。また溶融分離に関する研究では、下水汚泥等を環状炉にて乾燥させ、乾燥温度ごとにPFASの放散量を把握する。また、溶融実験条件の予備検討として、試料ごとに、溶流度試験を行い、溶融条件を決定する。
サブテーマ2においては、浄水処理における活性炭の吸着性の評価方法を参考とし、サブテーマ1から提供される再生活性炭の吸着性の評価に関する実験方法の検討を行う。また溶出試験を参考に、溶媒の選定も工夫しながら、活性炭からの脱着性の評価に関する実験方法の検討を行う。一方、サブテーマ1から提供される、廃活性炭や下水汚泥等に対して、PFAS及びフッ素等を分析するとともに、定量面で課題が予想される、抽出法、全酸化可能前駆体分析法、重合体PFAS分析法、燃焼イオンクロマトグラフ法の改善を行う。

関連する研究課題

課題代表者

倉持 秀敏

  • 資源循環領域
  • 副領域長
  • 博士(工学)
  • 化学工学,化学,工学
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担当者