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極端気象が森林生態系スケールのイソプレン放出に与えるインパクト(令和 7年度)
Canopy-scale flux measurements of isoprene

研究課題コード
2527CD007
開始/終了年度
2025~2027年
キーワード(日本語)
揮発性有機化合物
キーワード(英語)
volatile organic compound

研究概要

植物が放出するイソプレンは、大気化学過程を介して温室効果ガスの生成に関わるため、気候変動予測の重要な要素となっている。温暖化は、従来イソプレン放出を促進すると考えられてきたが、近年、温暖化に伴う熱波や乾燥が、逆に放出を抑制する可能性も指摘され、不確実性が増大している。本研究では、「真の渦集積法」を用いて日内から季節、年々変動に至る詳細なイソプレン放出量データを森林生態系スケールで取得し、モデルと比較することで、極端気象が放出量に与える影響を評価する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

本研究では、「森林生態系スケール」のイソプレンフラックスの長期連続観測を実施する。イソプレンのフラックス観測は、主要なイソプレン放出樹種であるコナラが優占する京都府南部の山城水文試験地において行う。また、葉群からのイソプレン放出量の連続観測を行う。さらに気温、湿度、光環境などの基本的な気象データに加え、熱波や乾燥の指標となる土壌水分や顕熱・潜熱のフラックス、植物の生理活性を反映するCO2フラックスなどのデータを取得する。イソプレンフラックスを評価するためのモデルには、個体レベルの放出量や植生情報(LAI、植生タイプなど)、気象データ(気温、湿度、光合成有効放射など)を入力値として計算を行う。モデルの計算結果を観測と比較することで、モデルの
精度検証を行うとともに、イソプレン放出に対する個々の気象要因の影響を定量的に評価する。

今年度の研究概要

本年度は森林生態系スケールのイソプレンフラックスの長期連続観測を継続するとともに、チャンバーを用いてブランチスケールのイソプレン放出速度の観測を開始する。また、エミッションモデルによるイソプレンフラックスの推定を行い観測結果と比較する。

外部との連携

森林総合研究所

課題代表者

斉藤 拓也

  • 地球システム領域
    物質循環観測研究室
  • 上級主幹研究員
  • 博士(地球環境科学)
  • 化学
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