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急激な世界的気候変動を引き起こす大陸氷床−大西洋子午面循環メカニズムの再検証(令和 6年度)
Reevaluation of continental ice shelf-AMOC interaction mechanism inducing abrupt global climate change

研究課題コード
2226CD003
開始/終了年度
2022~2026年
キーワード(日本語)
大西洋子午面循環,急激な気候変動,大陸氷床
キーワード(英語)
AMOC,abrupt climate change,continental ice shelf

研究概要

大西洋子午面循環は海洋大循環のエンジンであり、世界的な気候変動に強い影響力を持つ。特に氷期に気候が急激に変動したのは、大陸氷床の崩壊が原因で大西洋子午面循環が弱まったからであると考えられてきた。しかし近年、この定説に反する証拠が見つかった。
そこで本研究では、大陸氷床と大西洋子午面循環の相互作用メカニズムを明らかにするために、両者が共発達を始めた270万年前よりも後のアイスランド南方沖の海底堆積物に注目し、「大西洋子午面循環は氷床崩壊とは無関係に数百~数千年の周期で自発的に変動していた」と独自の作業仮説を立て、その検証を地質学的な証拠の収集とモデルによる理論的裏付けによって行う。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究プロジェクトでは、「鮮新世の末から更新世の初めにかけての大西洋子午面循環は、数百~数千年の時間規模で自発的に変動し、氷期には北大西洋周辺の大陸で氷床の崩壊を誘発した(すなわち、大陸氷床の崩壊は大西洋子午面循環の弱化や亜氷期を開始させる原因ではなく、結果であった)」とする独自の仮説を立て、その検証をアイスランド南方沖のガーダー・ドリフトで掘削・回収された海底堆積物(IODP Site U1314コア試料)のマルチプロキシー分析によって行う。

今年度の研究概要

海氷の指標とする有機化合物IP25について、分析条件の検討を行う。海洋の表層環境の指標とする珪藻化石群集に関しては分類学的な研究を進めた。他の古環境分析(岩石磁気、アルケノン、ice rafted debris、有孔虫殻の同位体比などの分析)につていも並行して取り組み、鮮新世の末から更新世の初めにかけての北大西洋高緯度域の海洋循環と周辺大陸の氷床変動、およびに気候変動に関する新しいデータを収集し、先行研究の結果と比較考察する。

外部との連携

九州大学、東京海洋大学、JAMSTEC

課題代表者

内田 昌男

  • 地球システム領域
    物質循環観測研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(農学)
  • 化学,地学,理学
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