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ローマ温暖期北極の高時間精度環境復元:破壊的永久凍土融解の実態解明(令和 6年度)
High resolution environmental reconstruction of Roman warm period in Arctic: permafrost dissolution under abrupt warming climate change

研究課題コード
2429CD001
開始/終了年度
2024~2029年
キーワード(日本語)
アラスカ北極圏,ボーフォート海,急激な温暖化気候変動,永久凍土,完新世,泥炭セルロース,酸素同位体比,放射性炭素,アルケノン海洋表層水温,放射性炭素年代測定法
キーワード(英語)
Alaskan Arctic,Beaufort Sea,abrupt warming climate change,permafrost,holocene,peat cellulose, oxygen isotopes, radiocarbon,alkenone SST,radiocarbon dating method

研究概要

本研究では、最新の古気候プロキシー、年代測定技術を用いて、過去数千年における北極域の陸域海洋における気候変動の実態を解明する。研究対象は、ボーフォート海、チュクチ海、アラスカ、スバールバル諸島等の地域を対象とし、水温、気温などの古気候プロキシーとして、泥炭セルロースの酸素同位体比(気温)、アルケノン(水温)、Mg/Ca比(海水温)の分析を行う。また、リモートセンシングなどの手法を用いて永久凍土の変動実態について解析を行う。本研究は、アラスカ大学フェアバンクス校とドイツ、アルフレッドウェーゲナー研究所(AWI)と共同で実施する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

本研究では、後期完新世の温暖期を中心に、北極域の陸域海洋を研究対象に、最先端のプロキシーを用いた気温・水温の復元と凍土融解の状況を正確に把握する。さらに急激な温暖化の進行によって発生したと考えられる大規模な凍土破壊による大洪水、湿地・湖沼形成に伴う地形変化(浸食)を定量的に復元する。調査は、主に、アラスカ中央部からツンドラ域にて、湖沼堆積物、泥炭、永久凍土のボーリングを実施する。今回提案の湖沼の選定おいては、予備調査を実施する。具体的な分析内容は、以下の通りである。1)古環境データを記録する湖沼、泥炭、凍土コアの正確な年代モデルを確立するため、様々な年代指標からなる14C測定を行う。特に、有機化合物レベルの14C測定については、AWIと共同研究を行う。また、海洋コアに記録された陸上における大規模な環境変動を復元するため、陸起源有機物、水銀等の分析を行い、凍土の大規模融解等の情報を取得する。2)複数の湖沼コアについてはハプト藻由来のアルケノンによる古水温の復元を行い、現地気象データ等を用いて気温を推定(夏期)する。泥炭コアのセルロースの酸素同位体より、気温を復元する。海洋コア(微化石)のMg/Caから、海洋環境の温暖化の変遷を復元する。3)凍土氷の酸素同位体比を用いて、凍土の融解変動を推定する。4)アラスカ地域において、SARデータを用いた干渉SAR時系列解析を実施し、凍土地形の時空間変動を明らかにする。

今年度の研究概要

アラスカ地域における湖沼調査、泥炭調査に関する準備を行う。ボーフォート海、チュクチ海の海洋コアの年代モデルに関連した予察分析を開始する。

外部との連携

アルフレッドウェーゲナー研究所、アラスカ大学、国立科学博物館、信州大学、弘前大学、三重大学、富山県立大学

課題代表者

内田 昌男

  • 地球システム領域
    物質循環観測研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(農学)
  • 化学,地学,理学
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